胸うさ | ナノ



後日談
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「で、それが新しい包丁か?」
「そうですよー、これで、マッチさんや君たちに食事を作っているんです。」

ルイの言葉に笑いながら返す。
その手には、迷子になって、甘味を奢ってもらったあと、買ってもらった包丁がある。
綺麗に輝いたこれは、安物だが、中々使い勝手がいい。

「氷雨はいるか?」

ラムが慌てたように入ってきた。
キョトンと首を傾げて、何か?と返せば今すぐ来い、と引っ張られる。
なんだ?と思いながらもついて行けば、そこにはマッチさん。
首を傾げたまま、入れ、と言われるままに扉を開けた。

「おねーちゃん!」
「この間はお世話になりましたわ、氷雨さん。」
「あ、いえ…。」

目の前に居たのはあの、迷子だった子と、そのお母さん。
にこり、と柔和に微笑んだお母さんが、お座りになって、と首を傾げる。
あ、はい、と座ると、後ろからマッチさんが入ってきた。
彼も促されて、私の隣に座る。

「わたくし、実は、これでも武器商人を営んでおりますの。」

……聞かなかったことにしてもいいだろうか。
なんて、軽く現実逃避したいところだが、自分を落ち着かせて、とりあえず頷く。

「氷雨さんのいる組なら間違いないと思いまして。」

うふふ、本物かどうか確かめさせて頂きたかったの。
楽しそうに笑った彼女に、はあ、と気の抜けた返事だけ返して、其処からはマッチさんのターン。
ちなみに、二人が話している間は、娘さんと二人で静かに遊んでいました。
彼女は、跡継ぎらしいです。

「お手柄だな、氷雨。」
「…お役に立てて光栄です、マッチさん。」

とりあえず、ご褒美として頭を撫でてもらいました。


あとがき
前サイトで、レンさまに捧げたものです。

ちなみにマッチさんの用事は、取引のお話をしに迷子のお母さんと会うことでした。


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