胸うさ | ナノ



治療と正体?

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トリコさんの腕は治るのに20年かかるらしい。
つまり…とりあえず、人生の盛りは残念ながら、片手無し、ってこと?だよね。
うわー、大変そう、なんて思っていたら、与作さんの視線が私に向いた。

「で?お嬢ちゃんは何者だ?」
「…私、ですか?」

きょとん、と首を傾げて見返せば、ゆっくり大きく頷かれる。

「んー、正確な種族とかは不明ですが、一応、人間に近いと思いますよ?」
「氷雨、」

マッチさんの心配そうな声に笑って返す。
大丈夫です、と言外に伝えて、与作さんに向き直った。

「とは言っても、10年前からの記憶はないので、ほとんど曖昧なんですけどね。」
「記憶喪失、ってやつか?」
「ええ、師匠に色々教え込まされて、それから、ネルグでマッチさんにあったんです。」
「で、今に至る、ってことか?」

こくり、小さく笑みながら、頷く。
難しい顔をして、顎に手を当てた与作さんは、困ったように眉を寄せた。
それにしても、と続けた彼に首を傾げて、先を促す。

「あの能力は、昔から持ってんのか?」
「気がついた時には。」

そう答え、首を傾げる。
トリコさんが気になったように声をかけてきた。

「制限は?」
「私と同等、もしくはそれ以下のレベルの生き物にのみ、効きます。」

今度はサニーさんが不機嫌そうに声を上げる。

「捕獲レベル、ってことかよ?」
「そう…ですね、戦闘レベルでも構いませんけど。」

苦笑しながら頷いた。
与作さんが変わらない、真剣な表情で続ける。

「此処にいる人間なら、誰まで言うことを聞かせられる?」

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