2
「大丈夫、大丈夫だ。」
「えぐ、マッチさん、」
「ああ…、ここにいる。」
力強く抱きしめてくれる彼の背中に手を回す。
目を伏せて、額を厚い胸板に押し付けた。
ゆっくり、自分自身を落ち着かせる。
まず、あの3人は大丈夫、いざとなれば少し無茶をしても私が復活させる。
蝶々はもういない、近寄ってくることもない。
マッチさんの不機嫌も収まったし、謝ってくれた、何より今一番側にいてくれる。
あの変態は何か変な力を使うけど、でも私より弱い、まだあのままなら、倒せば良い。
晴ちゃんが言っていたことは、どうしようもない…だけど、私にはもう、居場所がある。
大丈夫、なんとかなる、なんとか出来る。
トリコさんにも心配をかけてしまった、後で謝って、あとはお礼を言っておこう。
取り乱したことを鉄平さんと滝丸少年にも謝罪しなくては。
大丈夫、これくらい平気、大丈夫なんだ。
「ごめん、なさい。ありがとう、マッチさん。」
「…俺が一緒にいることを忘れるな。」
「………うん、」
優しく涙を拭われて、照れ隠しに苦笑してみる。
全く、と呆れたように言う彼に抱きつく力を強めて、一度、ゆっくり瞬きをした。
「大丈夫!」
にっこりと、笑顔を浮かべて、彼から離れる。
いい加減マッチさんに甘えるのもどうにかしないとなぁ…。
なんて考えるが、それは、もっとゆっくりしていこうなんて、自分に甘い考えをしておく。
落ち着いて、露出狂を見た。
どうやら注意されたらしく、ちゃんと腰にタオルを巻いていた、のでスルー。
トリコさんと鉄平さん、滝丸少年に恥ずかしいところを見せたことと、取乱して迷惑をかけたことを謝る。
すいません、と頭を下げて、トリコさんに心配して下さってありがとうございます、と笑いかけた。
おう、と気持ちよく笑ってくれた彼は、ぽんぽん、と私の頭を撫でてくれる。
滝丸少年と鉄平さんも結果的に仕方ないことだよ、という反応になってくれた。
まあ、いきなり異性の全裸(髪の毛で所々隠れていた)を見て、パニックに陥るというのは問題ないようだ。
…自分としてはそれだけじゃなかったのだが、話す必要はないだろう。
ちゃんと服を来て、髪を1つに縛った露出狂さんと話をするため、近くの食事どころに入った。
露出狂さんはよくよくみると、綺麗な顔立ちをしている。
睫毛は女の子なんかよりも長いし、基本的に華やかと言うか、華麗というか。
長い髪も、四色で…ん?四色?
まさか、サニー…?!
唖然として、軽く絶望した。