胸うさ | ナノ



サニー参加

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「あ」
「え?」

びっしゃぁ。
…お分かりになられただろうか?
すぐ右からザバァという音の直後に、気の抜けた声。
それに思わずそちらを見た私。
顔面からお湯を被ったのだが、それが重要なのではない。

「う、うわぁぁあぁあああっ!!」

見えてるよ、あの変態見えてるよ…!
ぎゅ、と目をつぶって、つないでいた手を抱きしめる。
が、感触も匂いも何もかもがいつもと違うので、更にテンパり、とりあえず手を離して座り込んだ。

「っ〜〜〜〜!!」
「大丈夫か?氷雨?」
「ふぇ…、ト、リコさん?」

俯いた顔を持ち上げられて、凄く心配そうな視線が向けられた。
とりあえず、おずおずと頷いてから、左右を見る。
すぐ隣に来てくれていたマッチさんの包帯を巻いてない方の足に、ぎゅうと抱きついた。
驚いたようなマッチさんを見上げて言う。

「ろすちゅきょ、」

吃驚しすぎて舌が痙攣してるよ、変な言葉喋っちゃったよ…。
ふと、ポンポン、と髪を撫でられる。
キョトン、とそちらを見ると、そこにはトリコさん。
困ったような何とも言えない表情で気がついた。
…ごめんなさい、マッチさんに抱きついてごめんなさい、すいません。

「ごめんなさい、」
「いや、いいけどよ…本当に大丈夫か?」
「はい、大丈夫、だと思います。」

こくり、頷いて立ち上がる。
ぞわ、と嫌な予感がして、飛んだ。
離れて、そちらを見ると露出狂が驚いた顔をして仁王立ちしている。

「っ、私、ネルグに帰る!」

色々なことが起こりすぎて、処理が不可能になっている。
ふわり、とゆっくり地面に近づくと、着地地点にマッチさんがいてくれた。
ぎゅ、と抱きついて、ぼろぼろと溢れる涙を止めようと目を擦る。
ぽんぽん、と背中を叩いてくれる彼に、今だけ甘えることを心に決めた。
ごめんなさいトリコさん、でも私の精神状態が悪すぎる。
ただでさえ、晴ちゃんにあんなこと言われて頭の中がぐるぐるしているって言うのに。
もうホント嫌だ。

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