胸うさ | ナノ



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もうちょっと大きければ、こんなことはされなかったかもしれない。
と思うと、このサイズで良かったとも、悪かったとも思う。
緊張するし、恥ずかしいけど、人と関わっているって言う安心感は半端ない。
更に言えば、あったかいし。

「……恋人、なのか?」
「へ?」
「その、マッチと…、」

え?まさか、マッチさんに惚れた?
いや、確かに男も惚れそうな程に侠気溢れる人だけど。
偏見は無いよ、腐女子だったし、時々自分は同性でも行けてしまう可能性を感じるときもあるし。
うん、でも、そしたら、どっちが受けになるんだろう…でも、侠気に惚れたならトリコさんが受け?
っは、マッチさんはどっちなんだろう?
男の人もいけるのかな?
てか、マッチさんが受けてたら、すごく、可愛いと思う。

「氷雨?やっぱり、」
「違いますよ、そんな関係じゃないです。」
「…本当に?」
「ええ。」
「どう思ってるんだ?」
「マッチさんは誰にでも優しい人だと思いますよ。それから、誠実で侠気溢れる人ですよね。かっこいいと思ってます。」

外見も内面も、そういって苦笑する。
トリコさんがそうか、と眉を下げて笑う。
え、なんか、地雷踏んだ?
なんて思っていると、トリコさんはすぐに気を取り直したように私を見た。

「恋人はいるのか?」
「いえ、いませんよ。」

この間私が断ってしまったから、いない。
これは確実だ。
てか、本当に、私に何であんなことをいったんだろうか、マッチさん。
何処に惚れる要素があるんだろう…?

「オレのこと、どう思う?」
「トリコさんのことですか?」
「ああ、お前にはどう見える?」

そか、私が一番近くにいるし、妥当な判断だな。
本人には聞きにくいもんなー、自分のことどう思ってるかなんて…。
うーん、てことは恋愛的に見ていいところを上げるべきだよね。

「大きい人だなって思います、体も器も。さり気ない気遣いもありますし、なにより、強いなあって。」
「そうか、ありがとな。」
「いえいえ。あ、仲間を大切にするあたり、マッチさんと気が合いそうです!」

そういうと、少し困ったようにそうか、と言った。
やっぱり不安なんだよね、気が合うかどうかって。
大丈夫、絶対仲良くなれるから。
なんて思っていれば、何か決意したように私を見る。

「そのうち、オレのことだけしか考えられなくしてやる。」
「頑張ってくださいね。」

前向きはいいことだ。
なんて思って笑顔で応援する。
トリコさんはちょっと困ったような顔をしてから、じゃあな、とテントに向かった。

(「おい、3人…あれはいいのか?」)
(「氷雨の奴、確実に勘違いしてるなありゃぁ。」)
(「だなー、あれで地元の人間が何人がやられたことか…。」)
(「何が怖いって、アイツの恋愛観が同性OKなことだろ。」)

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