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ヘーあの人が依頼人なんだー?
なんだろう、うん、人じゃ無さげ。
つーかどのタイミングで降りようかな…。
マッチさん呼んでくれるかなー?
叫んでるよーみんな。
そんなにテンションあがるんだ、100億円。
いや、すごいけどさ、なんていうか、もう現実離れしすぎて驚けないよね。
しかも、なに、年商20兆って、どういうことなの?
どんな単位なのそれは、って思ってしまうレベルで意味が分からないんだけれども。
って、みんな移動始めちゃったし?!
「ちょ、マッチさん、置いてかないで!」
「なっ、」
飛び降りて、マッチさんの首許に抱きつく。
ビックリした様子のマッチさんにすいません、と謝ってから離れる。
後ろの3人に危なく足があたるところだった。
と思って、後ろを振り向く。
と、サムズアップ。
力が抜ける…なんなの?サムズアップが流行ってるの?
「氷雨、何処にいた?」
「?天井ですよ。」
「そうか、気をつけろよ。」
「オジさん?!」
「何だ少年。」
「いや、え、お姉さん天井にいたって、どういうことなの?」
少年がビックリした様子でこっちを見る。
片目隠れてる、フェイスペイントもしてる、厨二?
いや、この世界は皆厨二か…。
何歳なんだろう?20はいってないように見えるけど…。
てか、マッチさんをオジさんって呼んでなかったか?
なんという見上げた根性…怖いほどだね。
「お姉さん?」
「あ、ごめんね。少年が可愛かったから。」
「かっ、何考えてるんですか?!」
「ご、ごめん。っ、すいませんでした、マッチさん、もういわないから、ね!ね!!」
気づけばすぐそばに居るマッチさん。
いや、今回は元から近くにいたけどさ、なんだろう、この予想外の近さ。
むしろ、これは、抱きしめられてないか?
いやいや、まさか、なんて言っても、背中に体温を感じてる。
これは、うん、ダメだよね。
なんて思っていると、胸のところから鳴き声が聞こえた。
「わー、マッチさん、手退かして、さうが死んじゃう!」
「…お前、入れる場所変えろって言っただろ。」
「だって、一番入れやすいんだもん。」
ひょこっと頭を出すさう。
キュー…と死にそうに鳴いていることから結構苦しかったんだろうな、と思った。
が、まて、一番苦しかったのは、私がマッチさんに抱きついたときじゃ…。
「ごめんね、さうー!」
「きゅー。」
まったくだ。と呆れられてる気がするのは気のせいか?
うぐぐ、と小さく口にしながら、置いてかれる危険に気がついた。
ぱし、と二人の手を取って軽く、そう、すごーく軽く力を入れる。
じゃないと二人が飛ぶから。
いや、冗談とかじゃなくてね。
舎弟3人飛ばした経験があるから。
「置いてかれちゃうよ、行こう?」
「そうだな。」
「ええ、行きましょう。」
(「邪魔が…!くそ、副組長!」)
(「マッチさん頑張ってください!」)
(「ライバル登場なるか…?!」)