胸うさ | ナノ



CS出発前

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場所は、ヘビーロッジというらしい。
まあ、詳しく聞いたら此処に食材があるんじゃなくて、此処から移動するらしい。
何でも、場所を知っている人がくるんだってー。
まあ、私の仕事は主にマッチさんとラム、シン、ルイの4人を守ることだ。
命をかけるとまではいかないものの、というか、そんなことしなくても守れるけどさ。
彼らは力を持ってる。
そりゃ、私には勝てないし、グルメ界行ったら多分死んじゃうけど。
それでも強いし、そんじょそこらの奴らには負けないと思う。
が、それにしても、飲み屋だからだろうか。

「うるさい、」
「氷雨、」
「だって、うるさいことに変わりはないです。」

ぷく、と頬を膨らませてみる。
可愛くはないが、不満だと伝わるだろう。
案の定、マッチさんは困ったように眉を寄せ、私の頭を撫でた。
それから、引き寄せるように額に一度口付ける。
一瞬で頭が真っ白になった。
周りが囃し立てたのを感じる。
それを気にせず、彼は静かに続けた。

「もう少しだけ、我慢してくれ。」
「っ、わかりましたから、離していただければと思います。」

下手に出れば、思わずといったようにマッチさんが笑う。
そして、後頭部にある手を離してくれた。
ちょ、居ずらい。
助けを求めるように3人を見る。
が、残念ながら、サムズアップ。
…どういうことなの?なんでぐっじょぶなの?GJじゃねえよ、全然。
他の客なんか見るものか、と、カウンターに向かう。

「マスター!お酒ください!」
「何がいい?」
「甘いのあります?」
「ぐぎゅー!」
「あれ?さう?出たいの?」

Yシャツのボタンを上2つ分外して、胸元でもぞもぞしているさうの顔を出してやる。
きゅいきゅい、鳴くさうは可愛い。
…え、酒飲むなってこと?
むー…仕方ないなー。

「マスター、やっぱりお酒じゃないのください。」
「なんつーとこにウサギ入れてるんだ…。」
「此処が一番楽なんですよー、私が。」
「お前が?!」

ねー?と首を傾げると、さうがきゅー、と一鳴きする。
うん、かわいい。
深いため息とともに、ミルクが差し出される。

「ほらよ、」
「ぎゅーにゅー…。」

まあ、嫌いじゃないし、いっか。
なんて思いながら悠長に牛乳を飲んでいると、周りが騒がしくなる。
ん?と後ろを振り向くと、青髪の大男と黒髪の少年…じゃねえな、黒髪の青年が居た。
黒髪の青年が私の右隣にくるようにして、青髪とマスターが話し始める。
楽しそうに話してるー、いいなー、入れて欲しいなー。
…自分からなんていける訳が無いけどな!
チキンなめんな。
つーか気がついた、さっきトリコって叫ばれてたよね?
主人公じゃねーっけ?コイツら。
…やっぱ関わるのやめようかな。
なんて思った瞬間、何かくると感じ、飛び上がる。
一応、天井?梁?の上に乗って、様子を窺った。
ばん、と大きな音を立て開いた扉からは黒服が現れる。

「これ降りられなくね?」
「きゅー」
「…何か心に刺さること言われた気がする、」
「きゅ!」

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