3
「さう、食べる?」
「きゅ!」
「ん、よしよし。彼方居るから、何かあったら来てね?」
「きゅー…。」
いい返事が聞けたので、部屋に戻る。
彼の正面に座り、紅茶を一口飲んだ。
一息ついて、正面を見る。
マッチさんがじっと見つめて来ていた。
「?なんですか?」
「好きだ。」
「、っぶふっ…ごほ、」
むせた。
否、咽せずにいる方が無理だろうって話で。
「お前は?」
「…嫌いじゃないですよ。」
「、で?」
「お付き合いとかは、自分の問題で考えられません。」
「…俺だからではなくてか?」
「はい。誰に言われても、私はこの答えを返しますよ。」
そう苦笑すると、彼はふむ、と考え込む。
その様子もかっこいいなとぼんやり思った。
彼のことは嫌いじゃない。
むしろ好きな方だ。
じゃ無かったら、キスされて平然と正面に座れる訳が無い。
でも、そんなことが考えられる状況じゃなかったりするんだよね。
だって、ほら、一応、異世界から来てるし、人間離れしてるし…。
言ってて落ち込んで来た。
「俺にチャンスはあるのか?」
「へ?」
「氷雨の問題が片付いたら、俺とのことも考えるか?」
「え、ああ、はい。その前にマッチさんにはいい人が見つかってるかもしれないですけどね。」
苦く笑ってみせれば、彼は驚いたように目を見開いて、短く息を吸う。
それから、安心したように笑った。
ならいい、と彼は視線を外し言う。
その言葉に何度か瞬いて、マッチさんを見つめた。
ふと、思い立ったように彼は私に視線を合わせる。
何となく気恥ずかしい。
「今度、ある食材を取りに行くのについて来てくれないか?」
「?いいですよ。」
「ありがとな。」
「いえいえ。」
(「マッチさん、何でそこで押さないんですか!!」)
(「俺だけしか考えられなくしてやるとか、マッチさんなら似合いますって!」)
(「きゅ!」)
(「うお、いつの間にいたんだうさ公?!」)