正義 | ナノ



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首を傾げながら振り返れば、そこにはディーテさんと肩を並べたシュラさんとデスマスクさん。
俺たちが手伝う、と苦笑する二人にありがとうございます、と頭を下げた。
二人と一緒にキッチンに入り、周りを見渡す。
炊飯器が、存在しないの忘れてた…!!
待って、米を鍋で炊くの、かなり苦手なんですけど。
はぁ、とため息を吐いて、仕方ないか、と諦めて米を研ぎ始める。
米の量が半端ないんですけど、20合近いんですけど。
がしゃがしゃと研いで、お鍋に入れる。
お米の上から第一関節分より少し多めにお水を入れ、少しだけ油を入れる。
それから、鍋にいれ、暫く水を吸わせる。
じーっと、私を見ていた二人に声をかけた。

「えーっと、じゃぁ、お野菜お願いしてもいいですか?」
「どの野菜をどうすればいい?」
「じゃがいもと人参を…」


キッチンから聞こえる声に思わず、小さく笑う。
守るべき女神が信頼し、姉と呼ぶ氷雨。
そんな彼女が聖域に害をなす存在であるはずがないのだ。

アイオロスとシュラはそれに気がつくことなく、外からの存在に反対していた。
シュラの方は、彼女の人となりに懐柔されてしまったようだが、アイオロスは、読めない。
あの人は、昔から人当たりの良い笑顔ですべてを隠し、そして、行動するのだ。

シャカ、アルデバランはそれに気がついてはいたが、外から、ということに反対していた。
シャカの方はまるで接触がないのでわからないが、すべてこれからだろう。
だが、今日の仮眠室での掃除でアルデバランには既に認められたようだ。
きっと、彼女が悪の存在ではないと、純粋に受け入れられたのだろう。

デスマスクとサガはそれに気がついた故に、警戒しやすいように近くに向かった。
二人とも既にほとんど警戒してはいないが、サガは自分のこともあってか、未だに不安そうにしている時がある。
デスマスクについては、氷雨の性格や料理の腕を気に入ったらしく、警戒するのは辞めたようだ。
…この間の眠過ぎて扉に体当たりした辺りで既にああ、コイツは問題ない、と判断したらしいが。

老師とミロは一般女性であると知っているが故に、様子見、といったところか。
老師自身、ほとんど聖域にいないので、顔合わせの際に見ていた程度だ。
ただ、紫龍から話は聞いているのだろう、特に私たちへの忠言もなかった。
ミロは様子見、というよりも、カミュによって近寄らせてもらえていない、というのが現状のようでもあるが…。
まあ、あの辺に任せておけばどうとでもなるだろう。

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