正義 | ナノ



041
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俺は、半身に声をかける。

「サガ、」
「ああ、わかっている。…彼女の部屋へ行く!」
「違うだろ!?」

隣からデスマスクが入ってきた。
ああ、だよな、違うよな。とは思うものの声には出さない。
サガがきょとんと首を傾げる。
欠片も可愛くはない。

「…明日の昼は、彼女の部屋に行けばいいのか?」

カミュが呟く。
そこまで氷河の話がしたいのか?
氷雨の話を聞いての反応としては間違ってるだろ。
ああ、もう…、何を考えてるんだコイツらは。
声を出そうとしたとき、横から控えめに入ってきた声。

「これからどうするか、では?」

シュラか。
真ん中はまともな人間がいるようで安心した…。
というか、上と下が可笑しすぎるのか…?

「シュラの言うとおりだろう」
「なかなか面白い人を見つけましたね…アテナも」
「ムウ?」
「狂わないように必死になっているようにしか見えませんでしたよ、私には」

前世の記憶なんて、アテナも持ってはいると思いますけど。
まあ、神と人間の差はそこでしょうね。
なんて、平然といってのけるムウに皆の動きが固まった。

「信じるのか?お前は」
「信じるも何も、あの沈黙を見たら、疑えませんよ」
「沈黙?」
「アイオロスが彼女に対したとき、私たちのことを知らないと言うのに、一瞬詰まったんですよ、彼女」

それに彼女は、私たちもアテナもどうこうするつもりはないでしょう。
あるのだったら、サガを励ます時も、玩具が出てきたからだと考えるはずではありませんか?
それから、罪について話したとき、彼女は私たちが蘇ったと言うことになんの疑問も抱かなかった。
謁見時に女神から話はされていたとして、人間が蘇ったなど普通は信じられないはずです。
そもそも最初から、この聖域の存在や聖闘士の存在を当たり前のように受け入れること自体、異常でしょう?

そう言われて気がついた。
確かに、日本人ので、星矢たちの存在を知っていたとしても、俺たち、特に正式な聖闘士でもない俺の存在を知るはずがない。
星矢たちがそんな話をしていたとして、素直に信じることも出来るはずもない。
拳で岩を砕く、なんて、夢物語もいいところ、なのだろう。
そんな人間をやめたようなヤツが自分の上司の近くにいて、信頼したように微笑めるだろうか。
そこまで、考えたときだった。

「しかし、彼女は朝、全員いると言うことに都合がいいと言っていたんだ!」

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