正義 | ナノ



034
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「まだ何かする必要があるのか?」
「ええ、こう見えても私は沙織様の仕事を肩代わりしているので」
「はあ?さっきまで働いてたのにまだやんのか?」
「ええ、何処か1つの仕事が遅れてしまうだけで、私の仕事は数倍にも跳ね上がりますので」

今回は、そうですね、沙織様曰く、デスマスクさんにまかされていた書類についてです。
げ、という顔をした彼が面白く、思わず顔を背けて笑う。
しかし、彼はめげないのか、にやりと笑った。

「じゃあ、手伝ってくれよ、そうすりゃ、アンタの仕事も減るだろ?」
「そうですね、と言いたいところですが、残念ながら、日本の皆から白髪男には気をつけろと言われてるので」

すいません、と、いい笑顔と称された顔を向ける。
日本の皆って誰だ、と言いたそうな表情に苦笑して、ぐ、と彼の首許を引く。
驚いたように引かれた彼の耳元に囁いた。

「星矢君たち、って言ったらわかりますか?」
「な、に?!」

ぱ、と手を離して、ついでに掴まれている手も離してもらう。
デスマスクさんの声に他の聖闘士たちがこちらを向く。
その反射神経にびっくりして、思わず身を引いた。
目が怖いんだが。

「お前、青銅の奴らと知り合いなのか!?」
「ええ、近所に住んでいましたし。一緒に買い物とかにも行きますよ?」

彼らを思い出して楽しく笑う。
兄弟想いで友達想いのいい子たち、彼らは元気かな、なんて思う。
いつも笑いながら、時々質の悪い冗談をいいながら、私を慕ってくれてる子たち。
彼らが笑顔で暮らしていられればいいな、と。

「氷河を知っているのか?!」
「え、っと、はい。…あ!もしかして、氷河君のお師匠様って、カミュさんですか?」

なるほど、クールだけど優しいって言ってたし、確かに、と一人で納得。
無意識で口に出していたのか、カミュさんは照れたように目をそらした。
あ、やっちまった。
フォローしとこうかなー…。

「自慢のお師匠様だって言ってました」

油断しちゃダメですから、とかもいわれたな。
何だ油断って、別に戦いはしないんだが。

「氷河について話がしたい。夕食でも食べながら、どうだろうか?」
「氷河君のことが大好きなんですね」

苦笑しながら、微笑ましいと思う。
多分彼は年下だ。
純粋で、一途で可愛らしいと思ったりもするが、表には出さない。
多分それだけじゃないだろうと思うし。
申し訳なさそうに眉を下げながら笑う。

「お誘いは嬉しいのですが、本当に今日は仕事が多いので、申し訳ありません」

また、今度誘ってください。
そう頭を下げれば、彼は、そうか…と淋しそうに顔を伏せた。

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