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「…君は正義が必要だと思うか?」
「正義はなくそうとしても人間がいる限りは無くならない概念です。必要不必要のレベルにはなりません」
そう返して、彼の押さえている書類を奪うように取る。
そして、何事もなかったかのように仕事を再開した。
誰も動かないし、何も言わない。
水を打ったかのように静まり返っている。
ふと、笑い声が聞こえた。
「く、はははは!いいんじゃねーの、その考え、俺は好きだぜ」
デスマスクさんはにぃっと、口角をつり上げ、静寂を破った。
その様子に不快そうに眉をしかめるのは隣のシュラさん。
私の目の前のアイオロスさんは未だにぽかんとしている。
「君は、」
「私は、正義の味方は信じていませんよ。だって、誰にとってもの正義の味方なんて、存在するはずもないし、間違えない人間だっているはずがない」
簡単なことでしょう?私は彼の目を見て言い切った。
「私だって、かなり間違えてきました。本当に、色々と」
前世のことすらも思い出されて、眉が下がる。
前世の家族・友人には本当に申し訳ないことをしたとしかいいようがない。
犯罪は犯してないが、それでも、彼女たちを傷つけるようなことばかりしている。
現世でもそれは同じだ、間違えないなんて出来っこない。
「やらなかった後悔なんて、何も生まないんです。むしろ、自らの行動を押さえつけるだけ」
だから、言わせていただきます。
そう言うと彼らは何故か私に注目した。
…え?何故?まあいいや、言っちゃうもんね。
「私を信用するしないはあとでいいんです。ただ、さおちゃんを守る意志、守りたいと思う心があるのなら、
仲間同士で中途半端に居心地の悪い空気を出す必要は無いようにしてあげてください」
そう、さっきから居心地が悪いったらないのだ。
皆絡む人間が決まっているのか、決まった面子でしか集まらない。
まあ、それはいい、派閥とかまで行かない程度の仲のいいグループ程度のものだから。
そうじゃないのが、サガさんとアイオロスさんだったり、シュラさんとアイオリアさんだったり。
無駄にぴりぴりしているんだ。
しかも、それがあるからなのかよくわからないが、サガさん・カノンさんが他の聖闘士さんを注意することも出来ず。
結果、ここの仕事の停滞・遅滞、後の沙織様の仕事の遅れ、つまり私の残業増加。
期日は前もって決めるものだ、しかしそれは必要であるからこそであると自覚してもらいたい。
*前頁と同様でこれはあくまで正義の味方についての管理人の持論です。
倫理の問題でもあるので、正解不正解はないと思います、ただ、夢主はこんな考え方をしてますよって程度です。