正義 | ナノ



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さて、今日はミロさんのお弁当を作る日だ。
いつも星矢君たちに作っていたようなものでいいということなので、そうさせてもらおう。
本当はサンドウィッチとかそういうのがいいのかなーとか思ってたけど、そうでもないっぽいし。
懐かしいなぁ、と思いながら、お弁当を作り上げる。
若干キャラ弁っぽくなったのは、多分星矢君たちに作っていた時の気分で作ったからだ。
決してキャラ弁しか作れないわけではない。
それに、キャラ弁がまだ流行っていないこの世界では、キャラ弁を持っているとヒーローなのだ。
星矢君たちが喜んだことも、リクエストしてくれることも、こうなった原因だとは思う。
ただ!キャラ弁といっても、ちゃんと食べること、美味しいことを第一においているので、見た目にもまずそうなものは作らないし、色を重視しすぎて青いご飯を作ったりもしない。
成長期であることも考えて、ちゃんと栄養学も軽く学んだのだ。
まあ、彼らが好き嫌いしないいい子だったので、作るのも楽だったけれど。

「ふふ、」

ついつい小さく笑ってから、思い出し笑いってこういうことか、と少し落ち込んだ。
完成したキャラ弁は、私の中のミロさんのイメージで、ひまわりにしてある。
キャラ弁とは言えないかもしれないし、ちょっと子供っぽいかもしれないが、私が彼に持っているイメージは太陽とか、明るいとか、そういうものなのだ。
無邪気とも言い換えられるだろうか。
お弁当を包んで、さて、と首をかしげる。
どうすればいいのだろうか?ミロさんに渡す予定ではあるが…取りに来てもらうのは大変だろう。
と、思っていれば、ノックされる。
はーい、と声をあげて、扉を開けば、そこに立っていたのは鮮やかな赤。

「カミュ?」

今日は私がお休みだけれど、お弁当作りが必要だからという理由で語学教室はなしという予定だったはず。
なのだが…どうしたのだろうか?
カミュはしばらく黙ったまま私を見て、口を開きかけてまた閉じる。
少しだけ耳を赤く染めて、視線を逸らしたカミュはその、あの、と戸惑ったように声をあげた。

「どうかしましたか?」
「…わ、私にも、…作って、もらえないだろうか」

視線を逸らしたまま、消え入りそうな小さな声で恥ずかしそうに告げる。
…弁当ってことだよね?これ。
一応作り終わってはいるけれど、まあ、もう一つ作るくらいなら問題ないかな?
キャラ弁はちょっと難しいけど…ごく一般的なものでよければ、余り物使って作れる。

「別にいいですけど」
「本当に?!」
「ほ、本当に」

余り物でよければですけど、と続けるが、彼は顔を赤く染めたまま、嬉しそうに破顔して頷いた。
イケメンだよなぁ、ほんと。
ふにゃりと、クールさのかけらもないような微笑みに驚いて、とりあえず、ミロさんの弁当を押し付ける。

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