021
「…、…氷雨!」
「ふえっ?!」
び、びっくりした。
思わずボールペンが手から吹っ飛んだ。
ボールペンを抑えてから、声をかけてきた人を見る。
あれ、双子座さんのどちらかだ。
「なんでしょう?」
「これが、読めるのか…?!」
あ、口調がカノンさんっぽい。
ちら、とサガさんの方を向いてみる…座ってる。
うん、こっちカノンさんだろう。
彼が驚いて指差しているのは、さっき終わらせた中国語の書類。
「はい、ちょっと使ってる言葉は古めかしい部分もありましたけど…普通に読めます、よ?」
「…っ、逸材だ。サガ、オレたちはかなり楽になるぞ…!」
「…?カノン、何だ、」
感動しているカノンさんを怪訝そうに見るサガさん。
あ、あってたんだ、見分けできるようになればいいなぁ。
カノンさんがこれ持ってくぞ、と元と中国語のそれと、それからギリシャ語に翻訳したものを持っていった。
とりあえず、その様子を目で追っておく。
サガさんがルースリーフを見る。
震えてる、ちょっと可愛いとか…思ってない、だ、断じて思ってないんだからっ!
「氷雨!」
「はい?!なんでしょう!?」
名前を叫ばれて吃驚したが、そちらを見る。
サガさんが少し悩んだようにして、首を傾げた。
「君は何カ国語できる?」
「ええっと、読み書き会話ができるのは日本語、英語、スペイン語、中国語で、読み書きのみならギリシャ語とフランス語もできますね」
「…」
「あ、ドイツ語とイタリア語は会話だけなら問題ないですけど…読み書きはちょっとスペルに不安がありまして。ああ、ロシア語とラテン語も目下勉強中です」