正義 | ナノ



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「っ!!」

隣にいるディーテの腕にしがみつく。
くすくす笑いながらもそのままにさせてくれるディーテはいい人だと思う。
そのままがっちりとディーテの腕を抱き込んだ、のはいい。

「っ?!」

突然背中に触られて、声が出ない。
若干涙目になりながら、ばっと振り返れば、デス。
ギッと睨みつけて、画面に視線を戻した。
怖いけど気になる…気になるけど怖い。
そんなこんなでそれからラストまでは身動き一つせずに見切った。

「はー…良かった、ちゃんとした終わりで」

ディーテにごめんなさい、と言いながら手を離して身体を大きく伸ばした。
エンディング的にも悪夢に悩まされることはないだろう。
よくあるエンドレス展開は本当に嫌なんだけど、今回は問題無い。
これならトイレに行けるしお風呂にも入れる。

「あっさりとした引き際だな…」
「でもこれくらいの方が潔くていいよ…と、思います」
「…別に無理して敬語を使わなくてもいいんだぞ?」

シュラの言葉に返したら、つい、というか、ただ単にミスったというか。
思わず気が抜けていたのか、敬語が取れていた。
これはいけない、と自分に言い聞かせようとしていた時のシュラの返答。
敬語とって仲良くなってもなぁ…どうせ、忘れることになるだろうし。
忘れたら忘れたで、向こうも慣れてるのかもしれないけど、何ともいえないよねぇ。
忘れなかったらいいのかって話にもなるけど、忘れなくても会えなくね?
そもそも此処に来られない訳だし、あちらさんも会いにくるとか無理だろうし。
まあ来た所でどうなるという状態でもある訳だ。
ぱちり、瞬いてどうしようか、と首を傾げた。
だが、使わなくてもいいと言われてしまうと、いえ、使いますとも言いにくい訳で。

「…その、意識して変えるのは何だか気恥ずかしいので、徐々にでいいですか?」

シュラを見上げながら、告げる。
柔らかく目を細めた彼は大きな手で私の頭を撫でる。
…完全に妹扱いだな、別に嫌じゃないからいいけどさ。
それでいい、と柔らかく告げるシュラを無言で見つめ続ける。

「どうした?」
「…いや、兄のようだと思いまして。シュラ兄さん、的な」

動きの止まったシュラに、それは面白いねと笑うディーテ。

「いや、ディーテとデスも中々のものですけど…世話焼きなお兄さんたち」
「私たちもかい?」
「逆にシュラだけだと思った理由が知りたいです」
「…それも、そうだね」

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