正義 | ナノ



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「うーん…えーっと、んー?多分、日焼け止め、くらい…ですかね?」
「それだけか?」
「はい。他には特に思いつかないので」

街につく少し前に、そっと下ろしてくれたカミュにありがとうと笑って、服装を確認する。
抱き上げられて走ってもらうと、流石に少し服が乱れるのだ。
ふと、顔を持ち上げてカミュを見ると彼はニコリと笑って軽く首を傾げる。
さらりと赤い髪が揺れて、イケメンだなぁ、とぼんやり考えた。

「どうかしたか?」
「キラキラしてて、綺麗だなぁと思いまして」

長くて多い睫毛がふぁさっと動いて、同じ色の瞳が不思議そうに揺れる。
何とも羨ましいなぁ、と思いながら、案内してもらってもいいですか?と問いかけた。

「案内だったら俺がするよ!」

突然、カミュさんの肩口からにゅっとミロさんが現れる。
思わず動きを止めてじっと見つめた。
ミロさんがいる。
唖然とその顔を見つめていたが、そういえば、カミュはどうしたのだろうかと視線を向ける。
はあと呆れたような顔をする彼はきっと気がついていたのだろう。
ほら、小宇宙ってそう言うの便利なんでしょ?
小宇宙というものが未だに体感的には良くわかっていないのだが、とりあえず便利なものだと認識している。

「俺色んな所案内出来るよ!」

ニコニコと笑ったミロさんはそのままの体勢で声を張る。
カミュが一度不快そうに眉を寄せて、ぐい、とふわふわの金髪を押し退けた。
不満そうに唇を尖らせて、むぅ、と唸るミロさんは非常に可愛らしい。
が、成人男子であることを忘れてはならない。
何だよカミュー、顎を肩に乗せるなと何度言えばわかる、いいじゃんか。
言い合い始めた二人にどうしたものかと首を傾げる。
後ろから肩を叩かれ、振り返ると、リアが恥ずかしそうにはにかんでいた。

「まず、お昼に行かないか?」
「あ…それもそうですね」

そう言えば、お昼は食べていないなと思ってこくり頷く。
前を向き直って、カミュとミロさんを見た。
仲が良さそうに先程とは全く関係ない会話を始めているようだ。
これは…声をかけてもいいのだろうか?
暫くじっと見つめていたら、こちらに気がついてくれるかなー。
なんて淡い希望を抱いてそちらを見るが、話に熱中しているようだ。

「こうなった二人は話が長い。あとから俺が伝えておくから、先に行こう」

困った顔で告げるリアにもう一度二人を見てから、こくりと頷いた。
彼は何処か安心したように目元を和らげて、こっちだ、と私に視線を向けてから、ゆっくり歩き始める。

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