正義 | ナノ



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「お前と俺たちじゃ体の作りが違うだろうが」
「…それを言うなら、仕事自体が違うじゃないですか」

彼らの仕事は、世界の平和を守ること、だろう。
…すごく関係ないけど、世界の平和を守る、というと某R団のあのトリオが思い浮かぶんだよね。
どんどんと増えていったけど、くそ、ニャースの過去悲しすぎる。
ムサシの過去は壮絶だし…コジロウはうん、まあ、その内嫁連れて実家帰れよ、とは思うけど。
と、いけない、まるで関係ないことを考え始めてしまった。
意識を元に戻して、じっとカノンさんを見つめる。

「私の仕事は、沙織様と皆さんが本来の聖闘士という仕事に集中できるようにお手伝いすることです」
「…だからといって、自分を蔑ろにしていい訳じゃないだろう?」
「蔑ろにしているつもりはこれっぽっちもないのですが…そう見えますか?」

首を傾げて問い返せば、即答で、ああ、と肯定が返ってきた。
うわー、これは…ヤバいな。
なんて思っても、実際問題自分の集中力が途切れるまで周りが見えなくなる性質は変わらない訳で。
例外があったとすれば、彼らのみだし。
彼らだって、いつもいる訳じゃないのだし。
つらつらと脳内でいい訳を紡いで、改善するためにはどうするべきか、と考え始める。

「じゃぁ、頑張って色々試してみます。直す方向で」
「…そうしてくれ」

渋々と言ったように引き下がってくれたカノンさんにこくりと頷いた。
その後、カノンさんは自分の席に戻って、仕事を再開させる。
わざわざ中断してくれたとは、申し訳ない。
後でお詫びに紅茶でも差し入れておこう、と考えてから、鞄からお弁当を取り出した。
正直に言うのなら、既におやつの時間である。
さっさと食べてしまおう、と手を合わせた。
小さく頂きます、と呟いてから、蓋を開ける。
カノンさんに心配をかけるのも気をつけないと、なんて考えながらお弁当に箸を付けた。
が、何だか知らないが、異様に視線を感じる。
顔を上げる、気のせいだろうか。
首を左右に振るが、別に誰と目が合うという訳でもない。
お弁当に視線を戻し、一口食べる。
……視線を感じる。
もう一度顔を上げて、周りを見る。
誰とも視線があわない。
とはいえ、未だに視線を感じている。
どういうことだ、と思わず首を傾げてしまう。
………いや、まさか、そんなことは、ない、よね?

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