鬼神 | ナノ



えんこく 1/2


どうしたことか、公孫淵が突然、燕という国を建てた。
その討伐にかり出された司馬一族の皆様に付き従って、私も来たのだが…。
何とも読みやすい計略に、どう反応すれば良いのだろうか。

「これは…どうしたものでしょうか…」
「氷雨、この戦、私の側にいる必要はない」

冷静に告げた子元様は、私は母上を守ろうと小さく笑う。
ということは、本陣にいてくださる、ということだろう。
確かに、ここはさっさと決めてしまった方がいい。

「かしこまりました。早々に終わらせます」

つげて、地を蹴る。
本陣に迫っていた三人の武将を早々に倒し、嘘の撤退しようとする彼らを追う。
突出した私に合わせ、橋をあげるという愚かな行為を鼻で笑いながら、すぐの拠点を制圧する。
本陣を攻めようとする彼らの声が聞こえた。
だが、私以外の将は本陣にいるのだ、何を心配することがあるだろうか。
くつり、小さく笑って、制圧したその拠点を見る。

「伝令兵、この道が本陣につながったら、司馬懿様に梯子を二つ、お願いしてきてくれないか?」
「はっ」

頷いたその兵に頼むぞ、とちらりと見やって、すぐに本陣から追いやられ、門を開いた敵兵たちに笑う。

「狩ってやる!死にたい奴からこちらへ来るがいい!」

言いながら、迅雷剣を振るう。
悲鳴をあげながら逃げていく、兵卒たちについては、大半を見逃す。
本陣を攻めようとしている武将に武器を突きつけて、死ね、と滑らせた。
それからやってきた敵援軍を即刻撃破、伝令兵が司馬懿様からの了解を伝えてくれる。
今頃になって無様に降伏しようとする公孫淵に司馬懿様が激怒しているらしい。
それはそれで大変だな、と一度子元様の安全を確認するため意識をそちらに向ける。
ふ、とそちらにさらなる援軍が見えて、武器を持ち替える。
ヒョウをまっすぐに狙い澄まし、投げてから、その周囲を確認、別の将に迅雷剣を向けた。

「流石ね、氷雨」

元姫の声が聞こえ、もう一人の将から迅雷剣を抜きつつそちらを見る。
私の投げたヒョウは首を一閃、敵将は倒れていた。

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