籠球 | ナノ



おまけ


「すごかったねー、昨日の告白。」

運動部のため、昨日校庭にいた友人にニヤニヤされながら言われる。
フルネームを叫ばれたこともあり、私は一躍有名人だ。
私が彼に片思いしていたことも知っていた友人なので、私はうるさいよ、とだけ返して、席に着く。
ふと、正面に後ろ前に座った牧君が目に入った。
思わず、赤面して、逃げるように席を立つ。
が、案の定掴まって、そのまま引っ張られて、どこかへ連れて行かれる。
…道の途中でひそひそと囁かれていたのは言うまでもなく分かっていただけるのではないだろうか。
誰も来ない、屋上に続く踊り場で、ぎゅ、と抱きしめられたまま答えは?と囁かれた。
からからに渇いた口で必死に搾り出す。

「分かってるでしょ、この体勢。」
「さぁな、ただ、抵抗する気が無いだけかもしれないじゃないか。」

なにそれ、と笑う。
その言葉に、驚いたように瞬いた彼。
それに逆に驚きぽかんと口を開く。

「氷雨は素直じゃないだろう?」
「…名前呼びになってるし。」
「肯定のときは話を逸らす。」
「……何故ばれている。」

思わず、呟いた。
くくく、と頭上で楽しそうに笑う色黒なイケメン。

「ずっと、見てたからな。」
「はぁ?!」
「…ん?知らなかったか?」

きょとんと、驚いたような顔をする彼は、一体いつ言ったつもりだったんだろうか。
知らないよ、そんなこと、と返せば、そうか、と嬉しそうに笑う。

「一年のときから好きだった。」
「…私より前だし。」
「そりゃ、努力したからな。」

おかしいと思わなかったか?毎回毎回、いろんな行事で同じ班になるの。
いや、確かに思ったけど…え、アレって操作できたの?
びっくりして、見上げる。
にやり、笑った顔にマジかよ、とだけ呟く。

「努力が実を結んだな。」
「なんかしてやられた感がある…。」
「で?返事は?」

にこにこと、いつものように笑う彼に、むっとして、抱きつく。
驚いた隙に手から抜け出し、顔を見る。

「紳一君が大好きです!」

言い放って、昨日と同じように、私は階段を駆け下りた。
後ろから、気をつけろよ、と声が聞こえて、むしろ転びそうになる。
とりあえず、真っ赤になってしまった顔をどうすればいいだろうか。

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