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ピーターパンに恋をした?


ピーターパンに恋をした?

じーっと見つめていると数回瞬いて、どうかしたか?と笑う牧君。
クラスの中心にいて、人気な青年だ。
とても大人っぽくていつだって頼られている。
多分、担任の先生以上に精神的に頼られているんじゃなかろうか。
バスケ部のキャプテンもやっているのに大変そうな様子などこれっぽっちも見せない。
しっかりしているが、どこか天然で、愛すべきクラスメイト、とでも言えばいいのだろうか。
なんて、考えていたので、どうかしたかと問われてもなんと答えていいのか、言葉が見つからない。

「白雲?」
「あーうん、アンバランスだなと思って。」
「何が?」
「君だよ、牧君。」

偉そうに見えるように軽く胸を張る。
いやぁ、遊び心が大切だよね。
フッと、思わず笑ったといったような牧君に思わず見惚れる。
やっぱイケメンだよなぁ…そりゃぁ、女の子がキャーキャー騒ぐ訳だよ。

「俺がアンバランス?…初めて言われたな。」

パチパチと音がしそうなほどの睫を瞬かせて、首を傾げる牧君。
うん、何か色々負けた気がするのは、気のせいだよね?
睫の長さとか、可愛らしさとか、頭の良さとか確実に負けている気がする。
なんて、黄昏てる私を気にすることなく、詳しく聞かせてくれと、正面に座った。
…後ろ前に座って、絵になる人ってモデル以外で始めてみたよ。

「俺はアンバランスか?」
「良い意味で?」
「…良い意味でアンバランスって、」

不思議そうに首を傾げた彼に言う。

「まず、頼られすぎで、頼らないじゃん?」
「頼られたからと言って、頼らなくてはならないわけではないだろ。」

どこか不満そうに言う。
まあ、そうなんだけど、それだけじゃないんだってば、と言葉を続けた。
指をピース状態にして告げる。

「料理は上手いのに、裁縫はまるで漫画のように下手。」
「…別にいいだろうが。」
「いや、あの落差はない。」

料理はまるでそういう道の人なのではないか、と思えるほどに上手い。
飾り切りとか神がかっていた。
にも拘らず、裁縫は雑巾すら縫えないどころか、針に糸を通せない。
どちらも同じ班だったのだが、唖然としたのを覚えている。
確かに自己申請で、裁縫は苦手とは言ってたけどね?
料理もあまり得意ではない、って言っておきながらのそれだったから上手いかと思ってたんだよ、皆。
楽しかったからいいんだけど。
笑えば、苦笑が返ってくる。

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