籠球 | ナノ



素朴な疑問


素朴な疑問

「あのさぁ、すっげーくだらないこと言っていい?」
「突然どうしたの、氷雨ちゃん、」

桃井は、友人の言葉にノートに書き込む手を止めて、そちらを見る。
唐突な発言に部室の外でぐだぐだとしていたキセキたちも動きを止め、部室内の少女たちに集中した。
心底疑問だと言いたげに氷雨は告げる。

「青峰さ、好きなタイプは巨乳って言ってんじゃんか。」
「え?ああ、そうだね。」
「つまりさ、女子的に言ったら、好きなタイプは巨根です、ってことなのかな。」

真剣に不思議です、と言った声色だと、人間は対応に困るらしい。
何故か、ミスディレクションで姿を隠す黒子。
あからさまに部室から目線を逸らす黄瀬に、確認し終えたはずのゲームのスコアへ視線を落とす赤司。
お菓子を頬張りながら関係ないと言いたげな紫原に、ラッキーアイテムを探し始める緑間。
話題にされ、固まった青峰。
部室の中では桃井がそうなのかな、と素直に返している。
問題の中心はそんな面々を知ることなく、続ける。

「でもさ、巨乳は服の上から見りゃある程度わかるじゃん。」

勿論、盛ったりもできるし、詐欺ったりもできるから一概には言えないけどさ。
真剣な声で、うーん、と考え込む。

「ぶっちゃけ、モノ見なきゃわかんなくね?」
「え、でも、日本とそれ以外でも違うものなんでしょ?」

桃井が真剣な声で話題に入った。
氷雨は1つ頷く。

「身長が大きければある程度のサイズはあるらしいよね。」
「あ、何か、鼻のサイズと比例するって話聞いたよ。」

あー、そんな噂あったよねー、なんて、氷雨は笑う。
が、あくまでも真剣に考え込んでいるようだ。
キセキの面々は困った顔をしながらも、興味があるのか、お互いの顔を見合わせた。
が、何故か皆鼻を隠している。
眼鏡を押し上げるようにしている緑間が一番自然な隠し方にも感じられるが、無駄にポーズをとっている黄瀬も面白い。
んー、と不機嫌そうな声を上げて、氷雨は桃井に声をかけた。

「個人的に、デカけりゃいいってもんじゃないとは思うけど、ほら負担とかあるじゃん?」
「ああ、確かにねー。」

うんうん、と頷き合う二人の声で部室へ衝撃を受けた顔を向けるキセキ。
あ、これ提出しなきゃ、と声を上げた氷雨に、私もだ、と桃井が立ち上がる音がする。
それでも、二人はのんびりと会話を続ける。
声のトーンが変わって、氷雨が溜息とともに告げた。

「だってさ、正直胸って脂肪の塊じゃん?」
「だよね、重いだけだよね。」
「肩こり酷くなるし、走ると痛いし、将来不安だし。」
「わかるー!あと胸にプリントあるTシャツとか着難いよね。」

二人で愚痴がたまっていたのだろう、もう一度座る音がする。
誰かから、あ、そっちか、と言う声も聞こえた。

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