籠球 | ナノ



おまけ


「ところで、氷雨、」
「何?赤司。」

紫原の膝の上に乗ったまま、首を傾げる彼女はなかなかに男前だ。
先ほどまでの、甘えた様子は紫原に対応する時しか見せないものである。

「敦に変なこと教えただろ?」
「変なこと?」

まるで何を言われているかわからない、といった表情の彼女に、ため息を吐いた緑間以外の面々。
緑間は、どうせ、碌なことではないだろうと思いながらも、何となく気になっていた。
そして、黄瀬がそーっスよ、と赤司に同調するように声を出す。

「お菓子くれなきゃ、犯すって、どういうことッスか!」

ぶは、と吹き出したのは緑間。
唯一聞いていなかったからだろう、ダメージは大きいようだった。
にも拘らず、きょとんとしている氷雨。
青峰がなんだったけ?とりっくあんどとりっく?なんて言うから、黒子がそれじゃあ、悪戯と悪戯ですよ、青峰君、なんて突然現れる。
うお、と一通り皆で驚いてから、視線はバカップルと化している紫原と氷雨に集まった。
頭の上にちゅっちゅしている巨人に、嬉しそうに恥ずかしそうに笑いながら、それでも、その手に口付ける彼女。
いい加減にしろ、とだれがいったのかはわからないが、皆の心の声だったのは間違いないだろう。
不満そうに彼氏の方が声を上げる。

「だって、氷雨がそう言ってたんだよ。」
「だって、trick or treat って言うのは tr で韻を踏んでるから、日本語に訳すなら、お菓子か犯すか、じゃん。」

何当たり前のこと聞いてるの?とでも言いたげな顔で、冷静に告げる氷雨にぽかんとするキセキ。
気をいち早く取り直した赤司は、冷静に告げる。

「treat の元の意味は施し、ごちそうだぞ?」
「それもそうなんだけど…。」

不満そうに口を尖らせ、すぐに思いついたように笑った。

「じゃあ、ごちそうか、ごまかしか?」
「いや、それでは可笑しいのだよ。」
「だよねぇ、ね、敦君はどう思う?」
「俺?俺は氷雨が食べられるならなんでもいいや。」

にこー、と幸せそうに楽しそうに嬉しそうに、笑う紫。
言っていることは、正直、だれよりも下衆い。
とはいえ、二人とも幸せそうに笑い合っている。
キセキのメンバーは、はぁ、と溜息をついて、肩を落として、赤司の帰るぞ、という言葉に力なく頷いた。

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