籠球 | ナノ



オカシな君


オカシな君

「ねーねー、黒ちん。」
「なんですか、紫原君。」
「えーっと、あ!お菓子をくれなきゃ、犯すぞ?」
「…なんですか、その嫌な脅迫。」

心底呆れた、というようにため息を吐く黒子に、紫原は首を傾げた。
曰く、えー、だって、氷雨がそういってたよー、だそうで。
あまりかかわり合いになりたくない、と顔に思いっきり書かれた黒子は、前もって用意してあったまいう棒を渡す。
ありがとー、と緩んだ表情と緩んだ声で告げた彼は、皆にも貰いにいこーと大きな体を動かした。

「あ、みどちん。」
「…なんなのだよ」

あからさまに会いたくなかったと顔に書いてある緑間に近寄った紫原は、先ほどと同じように、呪文を口にしようとした。
が、その前に、今日はハロウィーンなのだよ、と緑間が冷静にチョコレートを差し出す。

「わー、ありがとー。」
「この先に黄瀬と青峰がいるのだよ。」
「ホント?じゃあ行ってくるー。」

嬉しそうに駆け出す紫原を一瞥して、緑間は溜息をついた。
眼鏡を押し上げて、体育館に向かう姿は、何処か疲れているようだ。

「あー、いたー!」
「うお、なんだよ、いきなり現れんな。」
「オレの方からは見えてたッスけどねー。」

紫原に驚く青峰と、からからと楽しそうに笑う黄瀬。
青峰は一度黄瀬を殴ってから、何の用だよ、と紫原に告げた。

「えっと、お菓子をくれなきゃ、犯すぞ?」

青と黄色の二人が固まった。
それから、青峰は爆笑し、黄瀬は焦ったように、それ、他にも誰かに言ったんスか?!と叫ぶ。

「黒ちんにしか言ってないよー?」

不思議そうに首を傾げて、お菓子を寄越せと言わんばかりに手を差し出す紫原。
二人は慌てたように周りを見渡し、黄瀬は女の子から貰った飴を手渡し、青峰は、未だ口を付けていなかったスポーツドリンクを差し出した。

「えー…。」
「スポーツドリンクだって、甘ぇだろうが。」
「…そっか、じゃあいいや、ありがとー。」

ニコニコ笑って、去っていくその姿に二人ははぁ、とため息を吐く。
そして、その日は、青峰が、もう1on1やめようぜ、と告げたところで、黄瀬が食い下がることはなかった。

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