籠球 | ナノ



3


「氷雨ちゃん、」

ゼリー美味しかった、と喫茶店の看板を見つめていると後ろから声がかかった。
仙道彰は私に手を差し出し、首を傾げる。

「俺と、付き合ってくれませんか?」
「は?」

だめ?と首を傾げる男の差し出した手が小さく震えているのが目に入る。
緊張しているようだ。
顔を見れば、眉を寄せながら私を凝視する真っ直ぐな目とぶつかる。
これは、告白、だよね?
流石に、これで近くのお店まで、ってことはないと思う。
それだったら、私をこの店に連れてくる時も同じことをやっているだろう。
そう考えて、クスリと声が漏れる。
ビクっと肩を揺らしたツンツン頭が可愛く思えて、その手をパチン、と軽く叩いた。

「今日一日、楽しませてくれれば考えても良いよ。」
「っ、まじ?!」

抱きつく勢いで近寄って来た男に口角をつり上げる。
嬉しそうに期待してて!と力む様子にこれは空回りするな、と考えながら、片手を絡めた。

「氷雨ちゃん?!」
「ちなみに今日一日でだめだったらどうするの?」
「0.3秒後にもう一回チャレンジする。」

その返答に思わず言葉を失くして、つないだ手に唇を落とす。
唖然としたようなその顔に、にっこり笑う。

「なら、返答は来年の七夕が良いかな?」
「それはダメ!」

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