籠球 | ナノ



おまけ


部活後、ボールを取りに部室に向かう。
何故か憤慨したようなノブと面白そうにしている牧さんが俺のビニール袋を見ていた。
近づいて、覗き込めば、何本か入っている500mlのペットボトルのラベル部分に紙で『御神酒』と書かれたのが貼ってある。
透けて見える本来のラベルは有名なスポーツドリンクだ。
更に、何種類か入ったカロリー○イトには『供物』と書かれた紙が無駄に丁寧に貼付けられていた。
どうぞ御納めください、と筆ペンで書かれた、ノートの隙間から出てきたものと同じカード。
思わず、吹き出した。

「この準備の方が、手間取りそうだけど。」
「神<カミ>なのか?」
「あだ名ですよ。」

牧さんの問いかけには苦笑で答えて、不満そうにしているノブにどうした?と聞く。

「これ、絶対神さんを馬鹿にしてるじゃないっすか…。」
「そんなことないよ、こんな風に書かれてたら、高々ノート一冊貸しただけなのにこんなお礼はいらない、っていえないだろ?」

言葉に詰まったノブのかわりに牧さんが呟く。

「策士か。」
「ええ、策士です。」

肩をすくめて頷くが、その策に翻弄されている自分も悪くないな、と思い始めている。
でも、と不満そうにするノブの頭を数回叩いて、笑った。

「あの子の、特別なカミさまになれてるんだから、俺は満足なんだよ。」

そういいうもんですか?と未だ不満そうにするノブに笑って、500本シュートのために、部室から出た。
明日、彼女に今日の供物について話しかけよう、と思いながら。

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