――ピチャリ……

明かりのない真夜中の部屋に、濡れた音が響く。


「っは……王子さん…」

「んむ……」


徐々に体積を増して、口の中に収まりきらなくなってきたソレに、必死で舌を這わす。
手は、根元や袋を忙しなく愛撫している。


「っイイぜ、王子さん…すげー良い……」


ロイの言葉に応えるように、ソレを強く吸い上げれば、舌先に苦味を感じた。


(あと少し、かな…?)


見えてきたゴールに向けてスパートをかけるべく、疲れた顎を叱咤して、彼のモノを深くくわえ込む。


「何か今日の王子さん、随分積極的だな。まぁ俺は、王子さんがエロくて嬉しいけど……っっ!」


自覚しているとはいえ、揶喩されると流石に腹が立つので、軽く歯を立てて反撃する。
手応えからして、結構効いたらしい。


(ふんだ。ザマーミロ。)


ロイの指摘通り、今日の僕はかなり積極的(だって僕から頼んで舐めさせてもらったんだもん)だが、それは並々ならぬ決意があるからだ。

先程歯を立てた箇所を労るように、殊更ねっとりと舐め上げる。
ついでに上目遣いで見つめると、ロイの眉間が歪む。

口の中のモノも更に大きくなり、舌に感じる苦味も増してくる。


「くっ……王子さん…もう…!」


そう言いながら、ロイが僕の頭を自身の股間に押し付ける。


(来る……!)


身構えると同時に、彼のモノがドクリと脈打ち、口の中に熱い液体をぶちまけられる。


「んっ…んんぅ…!」


夥しい量のソレを必死で口に含み嚥下していくが、


「…ぐっ!ゲホッゴホッ!」

「だっ!大丈夫か、王子さん?」


なかなか衰えない勢いと量に、飲み込みが追い付かず、むせて吐き出してしまう。


「ケホッコフッ…、〜〜〜〜!!」

「無理すんなよ、王子さん。ほら顔上げろ。拭いてやるから。」


まだむせている僕の顔を、ロイがシーツで優しく拭いてくれる。


「もう大丈夫か?」

「ん。」

「そうか。……王子さん、すっげぇ良かったぜ。マジ最高。」

「そう…。」

「今度は俺が気持ち良くしてやるからな。」

「ひゃっ……ゃあっ…」


何時になく気合いの入った僕の愛撫に、ロイの気分は盛り上がったようだけど、僕の気分は、敗北感に萎えきってしまった。


(今日も全部飲めなかった……。)





 ***





―――翌朝。
上機嫌のロイとは裏腹に、沈んだ表情を隠そうともせず、食堂への道を辿る。


(何で飲めないんだろう?
……味とか臭いは問題ないんだよね。やっぱり量かな…?
でもそれって多分どうにもできないよね。
じゃあ、どうしたら……。)


悶々と考えながら歩いていたら、前を歩くロイにぶつかった。


「わっ…!急に止まらないでよ。
…どうしたの、ロイ?」

「王子さん、身体、辛いのか?」

「えっ、何で?」

「何でって、暗い顔して下向いて歩いてっからだろうが。……大丈夫か?歩けんのか?」

「あっ、だ、大丈夫!全然そんなんじゃないから!!」


まさか『フェラした後、どうやったら全部飲めるか悩んでました』なんて言えるはずない。

ロイが真剣に心配してくれている分、何だか余計に申し訳なく思えてくる。
っていうか、朝からこんなイヤラシイこと真剣に考えてる自分が恥ずかしい!!

とは言え、僕にとっては、やっぱり大問題で。
その後も悩み続け、再び心配したロイが、食堂まで手を引いていってくれた。

……ちょっと得したかも。





 ***





「王子様、御待たせしました!なの!」

「ありがとう、シュンミン。」


朝早くからレツオウさんのお手伝いをするシュンミンにお礼を言って、食事に取り掛かる。
今日の朝ごはんは、パンとベーコン、目玉焼き、サラダにオレンジジュースと……牛乳。

昨夜のこともあって、牛乳を見ると、例の悩みを再び思い出してしまう。


(牛乳だったらむせないのになぁ。まぁ、自分のペースで飲めるんだから、当たり前だよね。
……難しいなぁ…。)


ロイに気付かれないように、小さく溜め息を溢す。

目の前には、牛乳を飲むロイの姿。


「……えいっ。」

「!!!」


平然と白い液体を飲んでいるのが、何となく気にくわなくて、コップの底を突いてみた。すると…


「〜〜〜!!っ何しやがる!!」


当然怒り出すロイ。牛乳が気管に入ったのか、少し涙目になっている。が、僕にとってはそれどころではない。


「今、どうやったの?」

「アァ!?」

「だから、今の。どうやったの?」

「何がだよ?」

「牛乳、吐き出さなかった!」


僕の見間違いでなければ、ロイはむせたにも関わらず、牛乳を吐き出さずに飲み込んでいた。


「吐いたら汚ねーだろ。当たり前だろが。」

「ね、ね!どうやったの?教えて!」


これが分かれば、飲めるようになるかも…!
そう思い、ロイの答えを急かす。

盲点だった。
むせた後、態勢を立て直すなんて考えもしなかった。
しかしよく考えてみると、あの勢いでむせるのは寧ろ当然なのだから、むせること前提でその対策を考えるべきだったのだ。

ようやく見い出せた(かもしれない)解決策に、僕の期待は高まる。


「どうって、ほっぺたん中に溜めるに決まってんだろ。」

「それで、落ち着いたら、飲み込むの?」

「当たり前だろ。出してどうすんだよ。」


そう言って食事を再開するロイに、一言お礼を言って、僕もフォークに手を伸ばす。

―――思ったより簡単そうだけど、やっぱり練習はしてみた方が良いよね。


(今度、リオンに頼んで練習しようかな…。)


もちろん、牛乳で。







牛乳に相談だ









リオンとばっちり








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