「ロイ、」


静かな部屋。
王子さんが、そっと、俺の名前を呼ぶ。


「好き。」


そう言って、俺の手を取り、ゆっくりと、自分の頬に当てる。


「好きだよ、大好き。」


蒼い瞳から水滴が零れる。


「本当に好きなんだ。離れたく、ないよ。」


ころり、ころり、と、まるで硝子玉のように。
それでも、その硝子は、転がり落ちる事なく、俺の手を濡らしていく。


「こんなに好きな人、他にいないんだよ。ロイ、だけなんだ。」


俺もだよ。
俺も好きだよ、王子さん。
すげぇ好き。アンタだけだ。


「お願い、何処にも行かないで。もっと、ずっと、一緒に居たいよ。」


だから、そんなこと、言うなよ。
もうこれが最後みたいな、言い方。


「ねぇ、ロイ、好」

「泣くなよ。」


それ以上聴きたくなくて、その柔らかい唇と一緒にシーツの海に沈み込んだ。


だって、そうしないと、俺までが、








泣いちゃいそうよ







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