さてさて、あんな不穏なことがおこってから、2日。
 不穏な出来事は連鎖するものなんだろうか。
 
 ついに、あのすこし忘れかけていたあれが、激化してきたのです。
 そうですね。"上層部闘争"ですね。

 なんだかんだと過ごすうちに、いつの間にか五月も半ば。
 2年は一番行事が詰め込まれて忙しい学年ですから、もうひとつ目のイベントが迫りくるわけです。

 その名も宿泊行事。
 修学旅行は3年になってからいくんです。うちは。
 近隣は2年でもう済ませてしまうらしいのですが。

 名ばかりの進学校で、昔は賢かったからその名残でほとんどが指定校の推薦でどっかいくというものすごいお気楽校の本気をなめてはいけない。

 そして…この行事のおそろしいところは普段私ら知らぬ存ぜぬしてるというのにおもっくそ火の粉が降りかかってくるということですかね。勘弁して。

 そうです。
 グループ分けですね。

「じゃあ、4人グループ作って二つくっついてください適当に。部屋は5人部屋と3人部屋なんでその辺も適当に考えて。」
 
 と、桜子(担任)がアバウトなことを言う。よくわからんがやればいいことはわかった。
 …さて…

「女子は27人、そもそもつまり女子だけで組んでもあわないわけだね」

 私たちにとっては都合のいい人数でした。
 だって私らのグループは8人ですから。
 オミとサクと確かに一番一緒にいるけど、ほか5人とも同じくらいなかがいから。とりあえず私らこれで仮決定だね、とほかの様子を見守ることに。

 どうか変なこといいだしたりしませんように…!

「…あ、マリたち詰んだんじゃないこれ。」
「え?」

 私とオミとサク。そしてなせこってあだ名の子。
 妙に気の弱さとかで気が合う。そして妙に冷めてて面白い子。
 行事中ちょくちょくほかのクラスに行くからいなくてもほっといていいよ!とすでに宣言されている。

「だってさ。」

 オミが説明してくれました。 
 つまり、相坂さんたちとかの派閥の関係で、なんかうまいこといかないらしいです。

 
 (以下より次のセリフまでは細かいことなのであまり把握できなくてもいいです)

 なんでも相坂さんたちはもともと4人グループなので、そこにあみちゃんたち森ガールと、そのとりまき男子が入るそうな。

 で、森ガールも男子も3人グループだから、森の残りのこは吹奏楽の3にんと組む、取り巻き男子は運動部男子3人に混ざる。

 それで、まあ、相坂さん陣営はうまいこといく。

 ただ、ギャル系こと矢棚さんたちはもともと3人。
 あの感じだとたぶん軽音部の女子4人は絶対わかれないだろうから、どうあがいてもマリくんたちの4人グループは絶対ギャル系とあたるそうな。そしてギャルさんたちは真面目っ子瀬名たちと同じ班になるだろうと言う事…


「なにがかわいそうって絶対"こんなくらい奴らと組むとかいやすぎる!"みたいなことを声高々に言われることよね。」
「…胃が痛い…」
「ランが言われることじゃないのに」
「だってえ…」

 ほら、そうこうしているうちに、ギャル系の…というか矢棚さんは仲間をみすてて仲良い男子3人と組んで、軽音女子を仲間に入れましたよ。

 …これで残ったのはまじめというか、カースト一番下の瀬名たち3人とマリくんたち、そしてギャル系の2人。

 うわあなにあれみてるだけで胃が痛い。

「はあ?!意味わかんないし!なんで私らが瀬名さんたちとくまなきゃいけないわけ?!」

 …どうやら、怒りの矛先はマリくんたちより真っ先に女子に言ったらしいです。身内じゃなくても普通に話すし仲良いし、やっぱり胃が痛い。

「…」
「サク」

 サクは決してきの弱い方ではありませんので、苛立ったようにその2人をにらんでいます。
 オミがたしなめるんだけどね。

「はあ?マジないし。不公平にもほどがある!!」
「本当にねー。男子も男子だし!」

 本当、それを本人に聞こえるに言えるメンタルの強さの少しでもほしかったよ…すごいと思うの…心からすごいと思う。
 自ら角をたてていくスタイルなんて…なんてハードモード…!

「ここはさ、平等に4人のグループ同士分かれてあみだするべきじゃない?まあ、瀬名さんたちと組むのは仕方ないとしてさ」
「あのさ、自分勝手って言葉しってる?」
 
 対抗したのは、相坂さんと同じグループの雪間さん。
 おおこわい。

「はあ?どこが自分勝手なの?平等っつってんじゃん」
「だからどこが平等なんだよ。みんな好き好きに組んだんだよ。友達すくなっくてあぶれたからってわがまま言うな自己中!」
「はあ?!だれが!陰キャラのお前らなんかに言われたくないし!」

 …あ、あかんあかんあかん!胃が痛い胃が痛い!!!
 みんなストレス貯めすぎ!!!!
 ずっと陰で言い合ってたから、いろんなものたまってたんだな…。

 ぎゃあぎゃあときつい口調が飛び交う。
 ただぽかんと見ていることしかできない。

「そもそも!お前ら!!こそこそこそこそ陰でうっざいんだよ!!知ってんだからな!!!」
「はあ?お前らなんか私らに聞こえるようにいってんじゃん!どっちが性格わるいんだよ!」

「ちょ、やめなよ…!」
「そうだよ落ち着けって…!」
「と、とりあえずやめろ、な、な?!」

 男子のがビビっています。
 やらせとけよ的な女子たちとは対照的にどちらの陣営の男子も止めに入る。
 
 結局はなんだかんだ私たちとも話したりする相坂さんたちも、そのまじめ3人のことはなぜか受け入れてくれないので"うっわぼっちばっかだよあの班やば"とかおっしゃってます。だからアレなんですわたしは彼女たち。

 男子は見た感じ、割と暗いやなんやで好き嫌いはないみたいで、普段のグループは違えどそれなりにみんな上下概念がなく仲良しみたいです。

 ちょっとマリくんたちの言われ方に腹を立ててる風の男子が数人いるみたいで少し嬉しく思います。
 ちなみにマリくん陣営はマリくんとアイくんをはじめいしまきくんとシャイぼっち(マリくん曰く)の加倉?くん。
 たしか加倉くん雅って書いてまさくんらしい。可愛い名前だよね。

 そして桜子は安定の不介入。勝手にしてと言わんばかりに本を読んでる。
 すごいな桜子。安定のc組クオリティ。

「だって!!絶対!こんなメンバー…!!」

 挙句には浜さん若干の涙目涙声。化粧滲むよ、大変。
 そして安定のちょろい男子ども。
 普段相坂さん陣営の運動部男子や森ファン(森ガールたちと特に仲のいい男子たち)男子たちまでうろたえ始めます。

 まあ、確かにやばいな、とは思うんでしょうけどね。
 …雪間さんたちがかわいそうだなあ。

「ま、まあさ、確かに仲良くないメンバーばっかでもしんどいのはわかるし、なあ、雪間」
「はあ?!」
「そうだって。もともとの4人は変わらなくてもいいんだし、それくらいはいいんじゃないか」

 すぐ流される流される。
 やっぱりな…こんなことになると思ったんだよ…!

 まあ、全員完全にくじで決めるって言うのが私が初めに危惧していた可能性だから、まだ4人自体変わらなくていいのは不幸中の幸い、のようなものなのだけど。

 未だに食ってかかる雪間さんたちを男子はなだめすかして、結局くじをすることになりました。

 それぞれリーダーがメモに名前を書いて、委員長に渡します。
 そして、またリーダーが二枚ずつ出して発表するようです。

「じゃあ1班から。
 えーっと…6と9!」

「「あっ」」
「…」
「…」

 …なんと…初っ端から、マリくんたちとギャル系さんの組み合わせになった模様…。
 また、浜さんが泣きそうになんなのまじで…!と茶髪男子にくっつく。
 おお、そりゃたしかにかわいそうだね…


「…」

 委員長は無言でくじを袋に突っ込みなおす。

「…じゃあ、1班な。」

 そうしてまた袋をあさる。
 さらっとなかったことにしよったこのおにーさん…!!
 おま、相坂陣営のリーダー見たいな雰囲気あるくせに…!!



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