10 ヨサクとジョニー
前の島で手に入れたメリー号に乗り、海を進んでいる。メリー号の上でユキナが気持ちよさそうに寝ている中、ある会話がされていた。
ウソップ「じゃあ!ユキがあの時クロを庇ったのは、おれとカヤのためだったのか!?」
ルフィ「やっぱ、すげぇな!ユキは!!」
ゾロ「すげぇなんてもんじゃねぇよ・・・こいつは、人のこと考えすぎなんだよ。」
ナミ「あんたも人のこと言えないわよ;; でも、本当・・・ちょっとは頼って欲しいもんよね。」
ルフィ達はユキナがクロを庇った時の話をしていた。その理由を知ったウソップとルフィは本当に驚いたようだ。
ルフィ「まっ!終わったことはもういい!それより、海賊旗描こうぜ!!」
ナミ「そうね!せっかくだし、ルフィ!あんた、船長なんだから描きなさいよ。」
ルフィ「おう!じゃあ、ペンキとか用意しないとな!」
ルフィはそう言うと張り切って準備に取りかかる。
ゾロ「まぁ、どうなることやら・・・」
ウソップ「おれは描かせるならルフィよりユキの方が適任だと思うんだが・・・;;」
ゾロ「確かに、言えてるけどよ・・・ユキはせっかく寝てんだ。自然に起きるまでは起こさねぇ方がいいな。」
ウソップ「おう、そうだな。」
ルフィが絵描きに取りかかる中、メリー号は青い海を穏やかに進んでいく。
ルフィ「できたぞ!!海賊旗!!!」
『ん・・・(いつの間に寝てたんだ・・・)』
ルフィの声に目を冷ましたユキナは声が聞こえた方を見つめる。
ルフィ「はっはっはっ。ちゃんと考えてあったんだ。おれたちのマーク!」
自分の描いた海賊旗を堂々と広げて見せるルフィに他の3人は言葉を失くした。
ウソップ「コイツには・・・つまり絵心ってもんがねぇんだな。」
ナミ「ううん・・・もしかして、これって芸術なんじゃないかしら。」
ゾロ「海賊旗は死の象徴≠フハズだろ・・・・・・まぁ、ある意味、恐怖だけどよ。やっぱり、ユキに描いてもらったほうが良かったな・・・;;」
『あー・・・海賊旗か。』
「「「!!!」」」
いつの間にか起きてきていたユキナに4人は驚く。
『まず、ルフィに絵を描かせようとする所から間違ってるな。』
ユキナは眠たそうにしながらそう言った。
ナミ「ユキ!あんた、何でも出来そうじゃない!ルフィの代わりに描いてよ!」
『俺より適任者がそこにいるだろ?なぁ、ウソップ。』
ルフィ「なんだよ〜、ユキ!なんで、ウソップなんだよ!これじゃ、駄目なのか?」
ウソップ「お前は下手クソだ、ルフィ!ユキが言ってることだし、おれが描く!!」
ウソップはそう言い、さっそく取りかかった。
「「マーク変わってんじゃねぇか。」」
しかし、ウソップに似たマークに変わってしまう。ルフィとゾロに殴られ、しょうがなく描き直した。
ナミ「うん!上手いっ!」
ウソップ「こんなとこか。どうだ?ユキ?」
『ああ。言うことないな。』
ゾロ「同じマークとは思えねぇな。」
ルフィ「いいな!!あと帆にも描こう!!」
ウソップ「昔から人ん家の壁によく
落書きしてたからな。けっこう、おれは芸術に長けてるんだぜ。」
そんなウソップに帆にもマークを描いてもらった。
「「よし!完成っ!!これで海賊船ゴーイング・メリー号≠フ出来上がりだ!!」」
ウソップ「は――っ、疲れた。」
帆にマークを描き終え、大の字でねころがるナミとウソップ。そんな時、ゾロは突然、何かを撃つドウン!!という音が聞こえ、驚いた。
ゾロ「;;お前、一体。何やってんだ、突然っ!!」
ルフィ「大砲の練習だよ。せっかくついてるし。でも、うまく飛ばねぇもんだな。」
ウソップ「ばかめ。おれにかしてみろ。」
ルフィ「あの岩。」
ウソップ「OK。今の飛距離からみて・・・これくらいか・・・」
ウソップはルフィから言われた岩に大砲で狙う。
『おい。人がいないかをよく確かめてから・・・』
ドゴォン・・・!!
ユキナが言うのも遅く、岩は一発で粉砕した。一発で当たった事にルフィも撃った本人であるウソップもスゲーっと驚いている。
ウソップ「んな!?言っただろう?おれは狙い≠ノ関しちゃすげぇのさ。恐れ入ったら、おれをキャプテンと呼んでいいぜ。」
『?(あの岩付近に人の気配がしたんだけど・・・気のせいか・・・?)』
ユキナは崩れた岩を見てそう考えていた。
「ユキー!中に入ろう!!」
『・・・急に抱き着くな、ルフィ。』
そう言って抱き着いてくるルフィを軽く怒るとししししと笑い、歩き出した。それにつられ、ユキナも先程考えていた事は忘れ、ルフィと一緒に船の中に入っていく。