12 首領・クリーク
フルボディがギンを逃した事件から2日後、事件は突然起きた。
パリィ・・・ン!!
何処からかグラスの割れる音がした。バラティエの窓から巨大な海賊船が見えた事で船の中にいる誰かがガラスを落としたのだ。
「
首領・クリーク≠フ海賊船!!!」
「ドクロの両脇に敵への脅迫を示す砂時計・・・間違いない!!クリーク海賊団だ!!!どうしてここへ!!?」
バラティエに居た客達はその海賊船に騒めきだす。それを厨房から見ていたコック達もゴーキングメリー号で見ていたウソップやナミ、ヨサクとジョニーも怯えていた。
ウソップ「おいっ!!やべぇぞ!!!逃げたほうがよくねぇか!!?」
ジョニー「アニキ〜、船をだしてくれ。おれ達ぁ、死にたくねぇよ!!!」
『・・・面倒事になりそうだな』
そんな騒ぎの中、ゾロとユキナだけが冷静にその船を見ていた。
『・・・中の様子、見てくる』
ゾロ「あぁ。分かった」
ゾロにそう言うとユキナはバラティエの中へと向かった。
『(にしてもあの船・・・
偉大なる航路≠ナ嵐でもあったの?)』
ユキナは歩きながら船を見てそんな事を考えていた。
ルフィ「でっけー船!!ギンの奴、お前に恩返しにきたのかなぁ」
サンジ「そうは思えねぇな。・・・でも妙だぜ」
そんな会話がユキナの耳に届く。これから起こるであろう事を予測し、ユキナは船内が見渡せる窓の近くの壁に背中を預けた。
サンジ「あの船。ボロボロだ・・・!!!ああいう、巨大ガレオン船をあそこまでいためつけられるとすりゃ、まず、人の業じゃねぇ・・・なんかの自然現象につかまっちまったんだろう」
サンジがそう言った時、レストランの扉が開いた。客やコック達は入ってきた人物を見て驚く。
?「すまん・・・水と・・・メシを貰えないか・・・金ならあるいくらでもある・・・」
ギンの肩を借り入ってきた人物、
首領・クリークの顔色は血の気がなくやつれていた。その威厳も迫力もない姿にあれがクリークなのか、どういう事だと口々に言う。ルフィだけが腹減ってるみたいだなと呑気な事を言っているのだが。そんな中、クリークはドサッとその場に力なく倒れた。
ギン「
首領・クリーク!!!」
クリーク「・・・たのむ。水と食料を・・・!!」
ギン「お願いだ!!船長を助けてくれ!!このままじゃ、死んじまうよ!!!」
ギンがそう言うものの客達やコック達の目は冷たかった。海賊に向ける視線はやはり冷たい。
パティ「はっはっはっはっはっはっはっは!!!こりゃいい!!傑作だ!!これが、あの名だたる大悪党
首領・クリーク≠フ姿か!!」
パティはそう言い、盛大に笑う。
ギン「今度は金もあるんだぜ!!おれ達は客だ!!!」
パティ「すぐに海軍に連絡をとれ!!こんなに衰弱しきってるとは政府にも、またとねェチャンスだろう!!!何も食わせるこたァねェぞ!!取り抑えとけ!!」
パティがそう言うと他の客やコック達も口々に賛成する。しかし、クリークはそう言われても土下座をして頼みこむ。
サンジ「おい。そこどけ、パティ」
ドゴ!!
サンジ「ほらよ、ギン。そいつに食わせろ」
そこへサンジが現れ、パティを蹴り飛ばし、食料と水をギンに渡した。
ギン「!!サンジさん!!」
クリーク「すまん・・・!!!」
クリークはそう言うと勢いよく食べ出す。
『・・・おい。今すぐそいつから離れろ』
サンジ「?あぁ?」
今まで黙っていたユキナから突然そんなことを言われ、サンジは意味がわからないという表情をした。
カルネ「おいサンジ!!!そいつの言う通りだ!!すぐにそのメシを取り上げて離れろ!!!てめェ、そいつがどういう奴だかわかってんのか!!?」
そんなサンジにコックの一人、カルネが大声で言った。