第17話



事務所のソファーに腰掛け、情報収集の為に集まっていた。


「早速だが、東條のことを聴かせて貰おうか?希」


まず、希に報告をさせる。東條のことが気になるしな。


「は〜いっ!・・えっとねぇ、東條が仕事出来ないこと、バレてないよ〜」


「はぁっ?!何でだよっ!」


「准羅、落ち着け。・・・希、何故だ?」


バンッと机を叩いて立ち上がる准羅を宥めて、希を促せた。すると、希は自分の携帯を取り出し、操作し始めた。


「これら、見てよーっ!」


ニコニコ笑顔で見せてきた携帯の画面を見ると市販のスポーツドリンクが入っていたであろう空のペットボトルが数本と冷蔵庫の中に入ったペットボトルが写っていた。


「用意が良いですね」


「こうなることを予め予測しておいたんだろうな・・。これでまた、振り出しか」


はぁ・・と溜め息を吐き捨て、どうしたものか、と頭を抱える。


「だけどっ!皆の中で何か引っ掛かり出したみたいだよ〜?」


「どーいーことだよっ、それっ!」


「成る程な」


「くすっ。作戦は成功といったところでしようか」


「そうなるかもな」


希が言った意味を理解した私と瑞希に対し、准羅は理解できずに苛立っていた。


「俺にも分かるよーに説明しろっ!」


だあーっと怒鳴る准羅に瑞希が煩いですね、と眉を潜める。


「説明しますから、そう騒がないで下さいよ」


「あっ、あぁ」


瑞希の何とも言えない威圧感にたじろぐ准羅は冷や汗をかいているようだ。


「希が言っていることは真実を知らない人達が違和感・・・疑問を持ち始めたということですよ。いつものドリンクじゃないと」


「あぁ、成る程」


「准羅も意味が分かったところでだ。明日にでも跡部達にテニス部と話し合ってもらおう」


今まで考えていたことを口にする。希達は全員、賛成の声を上げた。


「あくまでも自分達のことは自分達でなんですね」


「じゃないと成長しないだろ?」


「だなっ」


ところで、と准羅と瑞希に向かって視線を向け、話を変えるように言うと、肩をビクッと揺らした。


「どうなんだ?教師改革の方は」


その質問に2人揃って視線をずらし、アハハっと乾いた笑いを漏らしていた。


「はぁ・・・。まぁ、別に良い。どうせ、私の方が終われば教師改革に嫌でも賛同するだろうからな」


そう言って時計を見ると0時を回っていた。


「・・・・もう、こんな時間か・・。今日はもう休め。おやすみ」


そう言った私が誰よりも先に部屋に戻っていった。

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