第16話



(何で上手くいかないのっ?!今まで上手くいってたはずなのに・・っ!あいつが来てからっ!!あいつ、なんなのっ!)


自分がしなければいけない状況に苛立ちながら美姫は、こんなこともあろうかと冷蔵庫に用意しておいた市販のスポーツドリンクをボトルの中に注いでいく。あと少しで終わろうとしている頃、着信音が鳴りだす。美姫は携帯を取り出し、ボタンを押すと電話に出る。


「何?・・・・・・・・・・・ぇっ・・・・・・・・・・あの女のことが分からない?!何やってんのよっ!どんなことしてでも良いから調べあげてよねっ!」


美姫は執事からの報告を聴いて声を荒げ、怒鳴り、どういうことなのかと焦っている。執事からあの女の正体は分からない≠ニ報告を受けたからだ。美姫の家は上位にある財閥である。知らないことは調べれば何でも分かった。できないことなど何もなかった。しかし、今回は調べても分からないという。こんなことは初めてで美姫は不安と焦りを覚える。
手を動かしながら考えていたが、考えることを止め、ドリンクの入ったボトルをカゴに入れてテニスコートに向かう。


「ドリンクゥ、持ってぇ来たよぉっ!」


「ありがとうございます」


美姫の声を聴き、逸早く近寄って来た長太郎がドリンクを受け取った。


――――・・・


希 Side


ドリンクを持ってきた美姫を見て、希は首を傾げた。


「あれー?ドリンク持ってきたー?でも・・・・どーやって?他の人には押し付けてないしね〜」


美姫を監視していたのになぜ、ドリンクを持ってこれたのか疑問に思う希は、誰かにさせていたのを気付かなかったのなら徠歌に怒られると考えながらも確認するため、誰にも気づかれないように木の上から降り、マネ室へと向かう。真相を確かめるために。マネ室の窓から中を覗くと水道がある場所に市販のスポーツドリンクが入ってたと思えるペットボトルがあった。希は成程と納得し、ポケットから携帯を出し、その様子を撮って保存する。証拠として。


「さぁて、何処に隠してたのかなー?魔女は〜」


ふふと笑いながら部屋の中に堂々と入る。周り気にしてたら逆に怪しまれるから。希が部屋に入り、真っ先に目に入ったのは冷蔵庫だ。もしかして・・・と思って開けて漁ってみる。すると、睨んだ通り市販のスポーツドリンクが入ったペットボトルが出てきた。握り締めていた携帯で写真を撮る。


「クスッ。2つ目の証拠写真だねっ!・・・・っと、魔女が戻ってくる前に元通りにしておかないとねぇ〜っ」


希は元通り、魔女にばれないように片付け、マネ室を後にした。

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