向日が泣き止むのを静かに見守っていた准羅は飽きたのかふぁーと欠伸を漏らした。
「・・・・そーいやー、瑞希に連絡しなくていーのかよっ?」
「ん?あぁ。そうだったな」
徠歌は、面倒だと言わんばかりに呟き、ネックレスのボタンを押し、瑞希と連絡を取る。
「瑞希。悪いが、保健室に来てくれないか?・・・・・・・・・・・ん?・・・・・・・・あぁ・・・・・・出来ればな・・・・・・・・あぁ、頼む」
通話を終え、ピッとボタンを押し、向日と軌翠の方を見ると向日とちょうど目があった。
「あ・・・・・・・永藤・・・・えっ?あ、跡部っ?!」
「たくっ・・・気付くのおせーんだよ」
向日はようやく徠歌と跡部達の存在に気付き、眼を見開き声を上げた。そんな向日へと近付き、額を小突く跡部を見て徠歌は、ふふっと笑みを漏らしていた。向日がその状況を理解でずにいる中、ガラッと音を立てて扉が開き、瑞希が中に入ってきた。
「・・・・・・何か・・重いですね、空気」
「急に呼び出して悪いな。一応向日を診てやってくれ」
「分かりました」
徠歌の用件だけを言う言葉に瑞希は気にするなということなのだろうと解釈をし、まだ放心状態でいる向日に近付いていく。向日に近付くとちょっと、失礼しますね、と言い、頭を触って診ている。その間も向日はされるがままだ。
「俺と瑞希、逆の方が良かったんじゃねぇかぁ?」
「逆にしたら准羅はすぐにキレるだろ?そこは冷静な瑞希じゃないと、な?分かるだろ?」
「あぁ。まぁな・・・」
残念と言わんばかりに准羅はちぇっ、と舌打ちして、頭を掻いた。
「・・・向日さん。指何本ありますか?」
瑞希が人差し指を立て前に出すと向日はその指を見る。
「・・・1本だろ」
何故そんなことを訊くんだ?と言いたげな顔をしている向日に瑞希は優しく微笑んだ。
「・・・脳に異常は無さそうですね。一応、今日1日は用心の為にゆっくり休まれて下さい。また、頭痛や目眩が起きましたら無理をせず、病院で検査をして貰った方が良いでしょう。頭を強く撃ったみたいですからね」
その言葉を聴いた向日は、あっ?!と思い出したように声を上げた。
「そうだ・・・俺、ボールが頭に当たって・・・倒れたんだっけ・・・」
「誰か送ってあげた方が良いのでは?」
徠歌は向日の言葉を無視した瑞希の言葉に頷いて、そうだなぁ、と呟く。そしたら、軌翠から視線を感じ、軌翠を見ると何か言いたげな顔をして徠歌を見ていた。
「・・・送っていきたいのか?」
徠歌は軌翠が何を言いたいのか分かり、そう尋ねると、はい、と頷いた軌翠に向日を任せることとした。
「向日は茜に送って貰え。茜。今日はそのまま帰って良いぞ」
「・・・はい」
「・・・分かった」
跡部の言葉に納得していないのみたいだが、2人は渋々頷いた。