第15話


希 Side

ルンルン気分でスキップしながらテニスコートへ向かう。

「悪魔の正体がバレたら悪魔はどうなちゃうのかな〜?」

楽しみだねっ!あー早く終わらせてあげたいな〜。そーすれば、茜ちゃんも楽しく過ごせる日々が戻ってくるんだもんねっ!

テニスコートでは珍しく皆がちゃんと練習していた。だけど、その中でも集中しきれてない人がいる。

「ちょーたろーくーんっ!」

コートの中に入りながら集中しきれてない長太郎くんを大声で呼ぶとそこに居た全員がうちを見てきた。

「さっき、跡部会長にあったんだけど・・」

跡部って単語を聴いたテニス部レギュラーはうちの近くによってくる。もちろん、悪魔も。皆の注目を浴びるなか、うちは徠歌に言われた通り、作戦を進める。

「今日までに仕上げないといけない仕事があるけど、1人じゃあどーしても片付かないから・・・えっとぉ・・、永藤?っていうマネージャーに手伝わせるから今日は永藤も跡部会長も来れない、って伝えるよーにっ!って言われて来ましたーっ!」

「跡部がなぁ・・・?」

怪しいわ、と言わんばかりに呟いた忍足の目を見ると疑っている瞳をしているからニコッと微笑んだ。

「後で真相、話すよ〜んっ!」

忍足の耳元で囁いたら驚いた顔をした。そしてまた、皆の方に目を向けた。

「あっ?!それとっ!えっと・・・・軌翠さんだったかな〜?向日センパイに付いていった軌翠さんは保険医が居ないから向日センパイに付いてるって言ってましたよ〜?・・・跡部会長もそーするよーに、と言ってましたしね〜。」

「・・・そうなんだね。ありがとう、希。伝えに来てくれて。」

長太郎くんがニコッと笑いかけてきた。だけど、何か訊きたげな顔をしてる。

「ちょーたろーくん?何か訊きたいことあるのー?」

「えっ?!・・・あー・・・向日さんの容態がどうか分かるかな?」

「えっと・・・、まだ目は覚ましてないみたいだったよ?でもっ・・・大丈夫なんじゃないかな〜?」

徠歌が落ち着いてるからねっ!って心の中で呟いて、長太郎くんを見ると不安でいっぱいなんだなっ、って見て分かった。ニコニコと微笑んだまま、悪魔を見る。悪魔はあたふたと落ち着きが無くなった。んー、これは徠歌には言われてないけど・・・いっかな〜?なんて思いながらも悪魔に静かに近付いた。

「貴女が東條 美姫センパイですか〜?」

「うん。そぉだけどぉ?わたしにぃなぁにかぁよぉ?」

「跡部会長が東條センパイに、頑張れよっ!って言ってましたよ〜?」

「そぉれぇ、ほんとぉ?」

「はいっ!」

それじゃあ、うちはこれで失礼しまーすっ!と付け足して、走り去る。後ろの方で、ありがとう、とお礼を言ってるから立ち止まって振り向いてはお辞儀をした。

さぁーて、悪魔はちゃーんとマネージャー業出来るのかな〜?楽しみだねっ!と思いながらテニスコートが満遍なく見える木の上に座る。悪魔がまた、変なことしないよーに見張んなきゃダメだもんねっ!うちが木の上にいることに誰も気付かない。

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