第14話


瑞希の教師改革のおかげか、呼び出されることが無かった。教師も生徒も動揺しているようだ。

「これで何事もなく終わってくれれば良いのだが。」

「そう容易く終わるとは思えねぇな。」

「だよな・・・」

良く分かるな、と小さく呟くと当たり前だ、と返ってきた。忍足も樺地君も景吾との会話で分かったみたいだ。
今は授業をサボって誰も来ないだろう教室へと来ていた。ジローも来ているのだが、私の膝の上で寝ている。

「それで、自分、大丈夫なんか?」

「あぁ。瑞希の改革のおかげで生徒の意識がこちらから向こうへ向いているからなっ。バカな真似はしないだろ。東條がまた、何かしない限りはだがな。」

まぁ、来たとしても軽くあしらうだけだけど、と笑った。3人供何故か半笑いなのが気になるところだが、まぁ、気にすることはないだろうと思い、先に話を進めた。それでっ、と意味ありげに呟くと忍足と景吾と樺地君を交互に見渡す。

「テニス部の目を覚まさせる事を貴方達4人に頼みたいんだ。」

ニコニコと笑う私に3人供、疑問に思ったようで首を傾げている。

「あーん?どういうことだ?」

「ウス?」

「そ、やで!徠歌達が依頼された中にテニス部の目を覚まさせることもあるんやろっ?!」

それに・・・、と続く忍足の言葉を遮り、私は3人を見据えた。

「仲間である貴方達から直接語り掛けた方がより効果的だと思う。」

だけど、と反論してきた景吾にニコッと笑いかけまた、続ける。

「前までは貴方達の声には耳を傾けなかった。だけど今、あの人達の心は揺らいでいる。そこへ貴方達、仲間の声が入ると自分で真実を見つける手助けになる。」

言っている意味分かるでしよ?と怪しく笑った。

「それであいつ等が分かってくれるんなら、なぁ・・・?」

「やなっ!やってやるぜ。」

「ウス。」

「ふふっ。その意気その意気。」

これでこっちも進んでいくだろう。全員が真実を知る日は近いだろうな。見えてきた終わりに小さく笑った。

「それじゃ、次のターゲットは誰にするかだな。」

そう言うとテニス部の写真を机の上に並べていく。

「景吾と忍足、ジロー、樺地君はこっち。」

そう呟きながらも名前をあげた人物の写真を私のところへと持っていく。軌翠さんと希は私達を挟んで東條と反対側へ。そして、東條側に向日、鳳、宍戸、日吉。

「後4人。テニス部が全員こちら側になれば、東條自らバラスだろうな。カーッとなって。」

「その後、東條をどうするん?」

忍足にしては素朴な疑問なんだろう。

「仲直りさせる。」

「えっ?」

あまりにも簡単に言う私の言葉に耳を疑っている忍足が見つめてくる。

「軌翠さんは東條と仲良くしたいと。」

「茜もお人好しやからなぁ。」

そんな茜やから俺も許されたんだよなぁ・・・と小さく呟いていたのは聴こえていないフリをしておこう。

「さて、誰を気付かせようか?」

どうする?と皆に振る。自分の中では決まっているのに聴くなんて意地が悪いだろうか、とそんなことを思いながらも静かに見守る。

「この中やったら、岳人がええと思うんよ。」

「そうだな。忍足とダブルスパートナーの向日だったら忍足の声が届くかもな。」

私の企みと一緒のことを言ってきた忍足を見てつい笑ってしまった。

「なら、向日でいくか。」

向日の写真を指差してそう言った。

「それでどうやって分からせるんだ?」

景吾の質問に、そうだな、と考える。

「・・まぁ、今考えても仕方ない。その場に任せるさ。」

((そんなことで良いのかっ?!))

心の中で景吾と忍足は揃っていたのであった。

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