何事もなく時間は過ぎ、放課後、部活が始まる時間になった。私は忍足とともにテニスコートへと向かった。景吾は生徒会室へ。ジローは先生に捕まって職員室に行ったから2人で行くことになったのだ。テニスコートにつくとざわざわと騒がしかったのがまた一段と騒がしくなる。まぁ、私が来たからだろうな。そんなことを思いながらも歩いていると目の前に向日が現れた。

「・・・侑士っ。何でそんな奴の味方になんだよっ?!何で・・・お前まで・・っ・・・」

悲しみを含んだ目を忍足に向けているかと思いきやこちらをギロリと睨んできた。まるでお前の所為だ、と言っているみたいに。

「岳人っ!いくら岳人でも許さんでっ!」

「忍足。そういうことは逆効果だ。」

睨んでいることに怒ったらしい忍足は前に1歩出た。しかし、私は忍足の耳元でそう囁き、忍足を止める。

「悪いけど、忍足はちゃんと周りを見て、真実に気付いたのよ。何で、と悲しむ暇があるのならもう少し周りをみなよ。」

向日の目を見て静かに話す。それに付け足すように忍足も口を開く。

「そやで、岳人!ちゃんと周りを見てみぃ!自分が正しいと思うんやなくて、第3者の立場になってみるとよう分かるでっ?!岳人にも見えてくるはずや、真実がっ。」

はよ、気付いてや、と願いを込めて叫ぶ忍足に向日の目は泳いでいる。後もう1押しだ、と思い小さく微笑んだ。

「何故貴方達はちゃんと仕事をしている者を見ずに聴いただけを信じられるの?貴方達にとって軌翠さんっていう人はそれほどの人なのかな〜?」

向日に近寄りながら言う。いつもならここでカッとなって殴ってくるのに今は来ない。グッと何かを抑えているみたいだ。進歩したな。と小さく呟いて、ドリンクを作るために部室へと向かった。


――――・・・


向日 Side

なぁ・・?侑士、何でお前まで永藤や軌翠の仲間になるだよっ?美姫が間違ってるっていうのかよっ!わけわかんなくなり、イライラする。それを掻き消そーと頭をぐしゃぐしゃと掻いてテニスをして忘れる事にした。

「日吉ーっ!ラリーしようぜっ!」

いつもは侑士とやっていたけど、今じゃ出来ねぇから日吉とやることになったんだ。宍戸は鳳としってからよっ。プレイしていてもなかなか集中できない。永藤や侑士の言葉が頭の中をぐるぐる回ってる。

「―っ?!危ないっ?!向日さん!」

その声とともに頭に痛みが走る。一瞬何が起きたのか分からなかった。地面に倒れて見えたのは転がるテニスボールと近付いてくるレギュラー、そして軌翠が走ってくる姿。それだけを見て気を失った。

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