第11話准羅 Side
あの後、徠歌が落ちたことを喜び合っている生徒達の声が聴こえた。そんな中、予鈴が鳴ったことで教師達はそこに居る生徒達を教室に戻した。そして、授業が始まった今、ここに居るのは俺と瑞希、跡部、芥川だ。
「・・・さてと・・・」
そう呟き、ピアスについているボタンを押し、ネックレスのマイクに向かって話しだす。
「・・・おい、准羅は何をやってんだ?」
「徠歌に連絡を取っているんです。」
俺の行動に疑問を持った跡部が瑞希に尋ねた。
「私達が着けているこのピアスとネックレスには通信機能が搭載されております。勿論、発信器付きです。」
「凄いCーっ!」
瑞希はそう説明を付け足す。それを聴いた跡部と芥川は相当驚いていた。
「・・・徠歌、今からこっちに来るってよ。」
瑞希達に報告しながら近付く。近付いていると瑞希達の後ろの方に誰かが居る気配がした。それに気付いた瑞希も後ろを振り向く。
「誰か居るのですか?」
瑞希が後ろにあった給水タンクの方を見て言った。
「忍足っ?!」
給水タンクの影から出て来たのは忍足 侑士だ。
「何でお前がここに居んだよ?あーん?」
そう呟きながら顔を歪め、俯いている忍足にづかづかと歩み寄る跡部。芥川は無表情でその様子を見ていた。俺も瑞希も黙って見守っている。
「私が呼んだから。」
そんな中、忍足が答えるはずの答えを屋上のドアの前でだるそうに立っている徠歌が答えた。忍足は徠歌の姿を見るなり硬直した。その目はまるで幽霊を見ているかのように怯えている。
忍足も徠歌が死んだと思ってたんだな。そして、俺達がここで話してたことを聴いてねぇな。
「徠歌っ!貴女は自分勝手に行動しないで下さいっ!心臓に悪いですよ・・・」
「ははっ。悪い。落ちるつもりは無かったんだけどな・・・」
瑞希を簡単にあしらって苦笑いを浮かべる徠歌は忍足に目を向ける。
「・・・で、真実は分かったか?」
「あぁ。・・・間違ってたんは俺等やったんやな。・・・本間悪かった!」
俯いていた顔を上げて勢い良く頭を下げた。その瞳には後悔と悔しさの色が映し出されている。
「謝る相手、間違っているんじゃないのか?貴方が過ちを犯したのは私じゃない。本当に謝らなくてはならない人が居るはずだ。」
「・・・そっ、やな・・・」
そう呟いてまた、俯いた。
後悔すんだったら鼻っからすんじゃねぇよ!たくっ。
そう思っていたらまた、屋上のドアが開いた。俺達以外は授業に出ているはずだ。
「あーっ!やっぱり、ここに居たんだっ!皆っ!」
ドアの向こう側で俺達の姿を確認した希がムッと膨れてそう叫んだ。その後ろから苦笑いを浮かべ、ついて来ているのは軌翠だ。
「全員、揃ったな。」
来ると思っていた、と徠歌は続けた。
「あっ・・・き、軌翠・・・」
希の後ろに居た軌翠に気付いた忍足はそちらに近付いた。徠歌は俺達に少し離れるよう指示して来る。だから、俺達はフェンスの近くに行き、忍足と軌翠の様子を伺った。こればかりは俺達・
associato≠フ出番ねぇよな。そう思って頭を掻いた。