第9話? Side
「・・・朝、か・・・」
目覚めが良いとはいえない朝を迎えた。
朝早く、まだ誰も来ていないだろうという頃に俺は学校に来ていた。今日も朝練がある。だから、早く来て誰が用意しとるのかちゃんと確認しようと思って来たのだ。すると、テニスコートから話し声が聴こえてきた。
「軌翠さん、こっち終わった。」
「こっちももう少しで終わります。」
テニスコートにつくと見えて来たのは軌翠と永藤がネット張りやコート整理、ボールの準備をしているところだ。
「いつも軌翠達がやってたんやな。」
自分達の愚かさに気付き始めた。
――――・・・
徠歌 Side
「あれは・・・忍足・・か?」
やっと気がついたのか。忍足の姿に気付いた徠歌は口端を吊りあげた。
1人、真実に気付き始めた。
これで東條の味方が1人減った。
ふふ、楽しくなりそうだ。
――――・・・
忍足 Side
だけど、ホンマに美姫が自分を傷つけ、俺らを騙してたんか?美姫は今まで自分が準備もドリンクも全部の仕事はしとる言うとった。でも、これは美姫の嘘やった。せやかて、自分を傷つける事なんてできるんか?あれが全て演技やって言うんか。それを確かめる方法があれば・・・美姫が軌翠や永藤を嵌める所か、或いは、美姫の本性が分かる所を確認したい。せやけど、どうやってその場面を見る?そう上手い具合に嵌めるとこを見ること出来るんか?ここまで見たというのに、まだ何処かで美姫の事を信じたいと思う自分がいるんや。否、ただ単に、真実を認めるのが怖いだけなんかもしれへん。どうしたらええんや・・・。
疑う自分と信じたい自分。矛盾した気持ちが飛び交う中、そろそろ来るだろう部員達が来る前に部室へ向かった。
その途中、永藤とあった。俺は目を背けてそこを通り過ぎようとした。
「やっと、周りを見出したんだね。少しは見えてきたかな?真実が。この先のことを知りたいんだったら昼休み、屋上に来てみなよ?面白いものを見せてあげるから。まっ、真実が知りたいならの話だけどねっ。」
俺が永藤の横を通り過ぎようとした時にそう言われた。
「どういう意味や、それ!」
背を向けて歩いている永藤に尋ねるが、来てのお楽しみ、とだけ言うてどっかへ行ってしもうた。
いったい、何があるって言うん?昼休み・・・行くしかないんか・・・。
そう思い、また、歩き出した。