第5話


ひんやり冷たい空気が肌を擦る。

「こりゃーひでぇなっ。」

事務所のソファーで瑞希に傷の手当てをして貰っている私を見て准羅が呟いた。部活の時に殴られてできた傷に消毒薬が染みる。

「・・・っ。」

「良くこんなになるまで黙って暴行受けましたね?」

「何処まで愚かなのか知っておきたかったからな・・っ・・・」

呆れながらも手を動かす瑞希に向って言う。

「・・・だが、東條があそこまで腐っているとはな。」

「そこまで腐ってんのー?」

「ああ。テニス部は自分のものなんだと。自分はお姫様だと思っているみたいだ。」

希までもが会話に参加してきた。
だが、東條をどうしたものか・・・。

「なぁ、東條はどうすんだよ?」

終わりましたと言って片付けをしている瑞希にお礼を言い、疑問を口にする准羅を見た。

「叩きのめす。と言いたいが、軌翠さんと榊さんに訊かないと何とも言えないな。私としては叩き潰したいが。」

つい、裏の顔が出てしまった。怖い、そう此処に居る全員が思ってしまう程冷たい瞳をしていたに違いない。

「・・・悪い。」

重い雰囲気が漂う中、ポツリと呟いた。

「そこまで徠歌を怒らせるなんて東條さんも(色んな意味で)凄いですね。」

「ほんとだぜ。」

「徠歌がここまで怒るのあの時以来だよー。」

そんな重い空気を変えるかの如く明るく振る舞う瑞希、准羅、希。そんなこいつ等に心地よく感じている自分がいる。何時もありがとう。感謝している。そう心の中で呟いた。

「あー明日から忙しくなんのかよっ。」

嫌そうに頭を掻き、小さく呟く准羅。

「怪我したら真っ先に行くとするか。」

「嫌がらせじゃねぇか、それっ!」

冗談を呟く私に突っ込む准羅を見て笑う瑞希。

(徠歌、無茶しなきゃいいんだけど。)

そんな中、1人だけ不服そうな不安そうな顔をして、そう思っている者がいること等、他の3人は知るよしもなかった。

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