私は自分の靴箱の前で唖然としていた。靴箱の中には虫の死骸やら生物やらいろんなものが入っていて、中から変な臭いが漂ってきた。
臭い。つか、幼稚だな。
その様子を見ている生徒達はくすくすと笑っている。呆れて見ていると後ろに気配を感じた。

「徠歌、何して・・・始まったか・・・」

私を通して靴箱を見た景吾は目を一瞬見開いて、いつも通りに戻った。

「始まって貰わないと困る。」

ふぅ・・と息を吐き、鞄の中から上履きを出し、それに履き替える。鋭い視線が私に突き刺さっていることに気がついた。あーそういえば、ここ生徒が多く居たな。大事なことを思い出し、辺りを見回した。どうやら先程までの会話は周りには聴こえていないみたいだ。ホッと安心して視線を感じる方を見ると顔を歪ましている東條が居た。心の中でニヤリと笑い、景吾に視線を戻す。

「・・・景吾ぉ・・・」

「あーん?どうしたんだ?」

「景吾は私が・・・東條さんをイジメたって思ってる・・・?」

俯いて恐る恐るといったように尋ねる私の頭に景吾は手を載せ、ポンポンと叩いた。

「徠歌がそんなことするわけねぇだろーが。安心しろ。俺様は何があっても徠歌の味方だ。」

「・・っ。景吾ぉ・・・」

そんな景吾に抱き付いた。東條が見ていることを知って。
もっともっと嫉妬しな?周りが見えなくなる程に。そうすれば自ずと気付くだろ。誰が悪で誰が正か。


――――・・・


何で?何で?景吾はあんな女を信じるわけ?私の方が可愛いのにっ!茜といい。徠歌といい。私だけを見ていればいいのよっ!
今目の前の光景を見て怒りが込み上げて来た。
酷く苦しませてあげないとねっ!美姫、優しいっ!ふふっ、覚悟しておくことねっ!永藤 徠歌っ!
勝ち誇った顔をして自分の教室に戻る。今度はどう言って徠歌を陥れようか考えながらも。そんな様子を見られているとは知らないお姫様は頬笑み、溺れる。

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