第4話


噂は光の速さより早いというが、本当みたいだ。昨日の一件で生徒全員が私と景吾が付き合っていることを知った。だから、周りが色々と煩いけど、無視。そんなことに構ってはいられない。

授業中、誰にも気付かれないようにピアスのボタンを押し、誰にも気付かれないように呟く。

「・・・准羅。用意できたか?・・・・・・・そうか。・・・・・・ああ、頼む。」

准羅と連絡を取り、準備の経過を確認をした。ふと窓の外を見上げると、そこには青空が広がっていた。朝、景吾と仲良くしているところを東條が嫉妬に歪んだ顔で見ていたから放課後に嵌めて来るだろう。どう仕掛けて来るか楽しみだな。静かに微笑み、いつの間にか来ていた先生の話に耳を傾ける。

「・・・――気を付けて帰るようになー。」

生徒を気にかけるような言葉が聴こえ、号令がかかった。さようなら、と一言言って、それぞれが動き出す。

「徠歌、行くぞ。」

「うんっ!」

テニスバックを掲げ、横に立っている景吾に言われ、バックを持った。そして、景吾と並んでテニスコートに行く。テニスコートにつくとコートの準備をしている軌翠さんがいた。

「あいつはいつも部員より早く来て準備をしているんだ。それなのにあいつ等は・・っ。」

そんな姿を見た景吾が悔しそうに目を伏せ、唇を噛み締めながらもポツリと呟いた。そんな景吾を見た後、チラっとテニスコートの端を見た。准羅に頼んでおいた物がある事を確認し、軌翠さんの元へ向かう。

「軌翠さん!私も手伝うよ。」

近くに行き、そう言って軌翠さんの手伝いを始めた。そんな私達の様子を見て跡部くんは何かを考えているようだ。ネット張りとボールの準備を終え、軌翠さんは洗濯をしに洗濯機がある部室の裏へ行った。私はドリンクを作る事になった。ここ1週間でテニス部の特徴は全て分かったから個々にあったドリンクを作っていく。
・・・いつも早く来て準備をしていることに気付かないのか。呆れてものが言えんな。
はぁ・・・と溜息を吐く。

「この依頼・・・案外難しそうだな・・・」

ポツリと呟いた声は誰にも届くことなく消えていった。ドリンクが出来上がった頃、突然ドアが開いた。

「ドリンクゥ、出来たぁ?」

中に入ってきた東條は私を見て一瞬、目を見開いた。

「・・・徠歌ちゃんがぁ、ドリンクゥ、作ったのぉ?」

「うん。景吾に頼まれたからねっ!」

張り切っちゃった、と照れくさそうにへへっと笑う。

「そぉなんだぁ〜。ドリンクゥ、出来たのならぁ一緒にぃ持っていこぉ?」

「うんっ!」

そう言ってボトルを二手に分けてテニスコートに持っていく。

「皆ぁ〜、ドリンクゥ持ってきたよぉっ。今日ゎねぇ、徠歌ちゃぁんがぁ作ったんだよぉ。」

部員達にボトルを渡しながら私が作ったんだと言ってくれる東條と一緒にボトルを渡していく。全員にいき渡るとドリンクを飲む部員達。

「「「美味しいっ!」」」

「「「美味いっ!」」」

次々と美味しいと好評が湧き上がる。それを良く思わない人が1人。
ふふっ。凄い顔で睨んできているな。その顔をここに居る全員に見せてあげたくなる。

「ありがとうっ!」

顔を赤らめてとびっきりの笑顔で礼を言う。すると、ここに居る全員が顔を赤く染める。
全員、私に落ちたら貴女はどうする?早く嵌めないと貴女を信じる者はいなくなるかもよ?そう心の中で嘲笑う。さぁ、始めて貰おうか?貴女の芝居を。

「・・・徠歌ちゃぁんっ!マネージャーの仕事をぉ教えてぇあげるからぁ、部室にぃいこぉ?」

腕に抱き付いてグイグイ引っ張り、部室に連れていかれる。私は東條にされるがまま。

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