第3話


私達・associatoアッソチャートはそれぞれ変装し、氷帝学園に来ていた。私と希は生徒、准羅は保健医、瑞希は先生として来ている。希は2年で軌翠 茜を守るため、同じクラスに入った。そうしないと守りきれないから。私達は1週間前からここに転入してきていた。勿論、軌翠さんを守るため、真実を明らかにするため。そして、氷帝学園の生徒の目を覚まさせるため。情報収集をしていた。だが、これで・・・。

「情報収集は終わりだ。ここからが・・・勝負だな。」

ボソッと呟いた声は誰の耳にも届くことなく消えていった。

私は自分の教室に入る。

「何や、徠歌ちゃん。偉い遅う来たな。」

入った早々に話しかけて来たのはこの間の関西弁の男子生徒・男子テニス部レギュラーの忍足 侑士だ。転入してから何かと話しかけてくる。

「あ、忍足くん。ちょっと寝坊しちゃってね・・・」

ははっ、と苦笑いを漏らして席についた。私の席は跡部くんの隣。だから、クラスの女からは睨まれることもあった。まぁ、そんなことで動じる私ではないが。チャイムの音と同時に担任が入って来る。

「席につけーっ。SHRを始めるぞーっ!」

その声で一斉に席についていく。そして、私は跡部くんの方を向いてニコッと笑った。

「跡部くん。・・・真実をそのまま伝えるのと自分自身で真実を見つけさせるの。

跡部くんならどっちを選ぶ?」

跡部くんにしか聞こえないように小声でくすくすと笑いながら問う。

「あーん?どういう事だ?」

「だ・か・ら、真実が見えていない人達に私達が真実を教えるか。それとも、自分達で真実を見つけ出させるか。

・・・他の人の未来を考えるのなら後方だけど・・・軌翠さんのことを考えるのなら前方だなぁー。」

不敵に笑う私は不気味なのだろうか、心成しか怯えているように見えた。

「それはっ・・・・・・・・俺だけじゃ決められねぇ。」

「・・・くすっ・・・。賢明な判断だ。まぁ、安心しろ。後方にしたとしても軌翠さんを傷つけさせるつもりはない。」

正直驚いた。跡部くんは前方・・・つまり、愚かな人達に早く真実を教えて、軌翠さんを早く助けだす方を選ぶと思っていた。だけど、跡部くんは生徒全員のことも軌翠さんのことも考えている。流石、生徒会長だ。

「昼休み、軌翠さん及び軌翠さんの味方を誰も来なさそうな・・・そうだな、音楽室にでも集めてくれないか?」

「あぁ。分かった。」

そう言った跡部くんは先生が出ていったこともあり、席を立ち教室を後にした。早速、言いに行ったのだろう。私も席を立ち、教室を後にした。向かった先は准羅が居る保健室だ。

「あーかったりぃ・・・何で俺がやんなきゃいけねぇんだよっ!?」

中からそんな声が聴こえてきた。中に居る奴には気付かれないように扉を開け、中へ入った。

「お前なら最適だと思ったんだがなぁ・・・」

少し嫌味を含めて言ったら准羅はビクッと肩を上下に動かし、振り向いた。

「徠歌か・・・。たくっ、脅かすんじゃねぇよ。」

「1人だからって安心しているのが悪いんだろ。廊下まで丸聴こえだったぞ。」

「本当か?!あっちゃー。」

次からは気を付けな、と肩に手を載せ、准羅の前にある椅子に座った。

「ある程度、情報収集が終わったからそろそろ始める。昼休み、誰にも気付かれないよう音楽室に来てくれ。」

「やっと始めるのか・・・」

そう言った准羅は今にも殺しそうなくらいの殺気を放っていた。

「気持ちは分かるが、少しは抑えろ。・・・まぁ、嘘が得意なお前には心配無用なんだろうがな。」

ふっと笑い、准羅に向って言う私に准羅も同じような笑い方をして、あぁ、と頷いた。

「さてと・・・」

ガタンッと椅子を鳴らし、立ち上がると1番端のベッドの上に座った。

「おいっ、いきなりどうしたんだよ?」

いきなり立った私に驚いた准羅が言ってきた。普段は髪に隠れて見えないピアスと制服の下に隠しているネックレスを准羅に見せつける。それを見た准羅は私が何をするか分かったみたいだ。

「あぁ・・・あいつ等に連絡するのか。」

小さく呟いた准羅の声を無視して、ピアスのボタンを押した。

「希、瑞希。用件だけ言う。昼休み、音楽室に集合だ。誰にも気付かれないようにな。希は軌翠さんを守りながらも。瑞希は榊さんに音楽室を使う許可を取ってくれ。」

それだけ言うと、ピアスのボタンを押し通話を切った。

「何だか2人の了解という声が聴こえて来そうだな。」

笑いながらもそう言う私に、そうだな、と頷き、准羅も笑った。

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