先程、昼休みを知らせるチャイムが鳴り、席を立ち歩き出した。向かう先は職員室だ。職員室につき、扉をノックをして、中に入り、近くに居る先生に話しかける。

「あのー・・・。榊先生居られますか?」

「あー・・・。榊先生なら多分、音楽室だと思うが。あの人は、音楽室に居ることが多いからよー。」

「そうなんですか。ありがとうございますっ!」

辺りを見回して、榊さんが居ないのを確認した目の前の先生に頭を下げて、音楽室に行ってみます、と言い職員室を後にした。

音楽室のドアを開けるともう既に皆集まっていた。

「遅くなってすまない。」

そう言ってドアを閉め、鍵を掛ける。皆適当に座っていたため、私も適当に座った。

「自分がここに集まるよう言ったのに遅かったですね。」

椅子に座ったのと同時に絡んでくる瑞希は厭味ったらしく言ってくる。それに対して、ちょっとな・・・と軽くあしらい本題に入ることにした。

「早速だが、本題に入らせてもらう。時間もないしな。」

ここに居る全員を見渡す。誰かの唾を呑む音が聴こえてきた。

「今朝、跡部くんには聴いたんだが・・・軌翠さん、榊さん、樺地くん。

愚かな人達にそのまま真実を教えるか、それとも、自分で気付かせるか、貴方達はどちらを選ぶ?」

この場の雰囲気がだんだん暗くなる。軌翠さんは、オドオドしながらも真剣に考えている。榊さんは俯きながら、樺地くんは何を考えているのか分からないが、考えているのだろう。しばし沈黙が続く。その沈黙を破ったのは榊さんだ。

「私からは・・・何とも言えない。・・・一刻も早くこの問題を解決するためには前方の真実を教えることが最善だ。だが、教えて素直に信じるとは・・・。もし、信じたとしても、生徒達の未来が無い・・・。・・・生徒達の未来を考えるのなら、自分で気付かせる方だ。だが、これにするなら・・軌翠がこれ以上に傷付くことになる・・・っ・・・」

悔しそうに俯き、膝の上で拳を振るっている。

「樺地くんも同じなの〜?」

「ウス。」

今まで黙って聴いていた希が樺地くんに向かって聴いた。

「なら、軌翠自身に決めて貰うしかねぇな。」

「・・・」

准羅が言った言葉に軌翠さんは押し黙ってしまった。まだ考えているのだろう。

「徠歌、一言言い忘れていますよ。自分で真実を気付かせるには相当な時間がかかります。ですが、軌翠さんの身の安全は保障します、という事を。」

「?軌翠さんを守るのは私達の役目なのだから当り前でしよう。」

当然っ、と言う私に瑞希は呆れた顔をしている。

「・・・私、決めました。・・・自分で真実を見つけ出して貰いたいですっ!」

私達の言葉が決心を付けさせたみたいで、軌翠さんは良い目をしている。

「了解だ。」

「徠歌。ぜぇーたい、こうなると思ってたでしよう?!」

「さぁ?」

そんな事を言ってくる希を適当にあしらって、窓に近寄った。

「おいっ、これからどうすんだっ。」

跡部くんがいきなり訪ねてきた。振り返ることもせず、そのままの格好で応える。

「ん?・・・私が東條 美姫の標的になる。」

「どうやって標的になるのですか?」

その私の言葉に疑問を持った軌翠さんが次に質問してきた。その質問にニコッと笑い跡部くんを見る。

「東條 美姫が軌翠さんを標的にした理由は跡部さんと仲が良いからだそうです。そこに漬け込むんですよね。」

「あぁ。」

「・・・俺様に協力出来ることがあれば言ってくれ。何でも協力する。」

跡部くんは一拍置くとそんなことを言い出した。私はその言葉を聴いて、不敵に笑う。

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