「だが・・どうやって話し合いをするんだ?」


向日にやっていた眼をふと思い出したかのように訪ねてきた跡部に向ける。


「ミーティングとか言って話し合いの時間を作れば〜?」


「まぁ、それしかないだろうな」


希がまともな提案を言ったことに多少驚きもあるが、それにすかさず賛成する。


「なら、今日の放課後はミーティングにするが、良いか?」


「あぁ」


「でも・・・どうやって真実を分からせるんだー?」


「そうやなぁ・・」


「・・・・あのよ・・。東條が来る前のこと思い出させたらいーんじゃねぇのか?俺もそれで・・・それに、あいつ等ドリンクに疑問持ってんだろ?」


芥川の質問に各々が自分の考えを出しあっている。それを微笑ましく見守っている私と希。
チラッと希を見ると目があった。うちは何もしなくていーのー?とそう目で訴えてくる希に、そうだなぁ、と呟き、静かに立ち上がる。


「あーん?どうしたんだ?」


いきなり立ち上がった私に皆が注目した。


「気にしないで続けて?私達は私達だけの話があるから」


ニコッと笑って希と一緒にその場を離れようとした。刹那、強い風が屋上に吹き荒れ、私達が被っていたウィッグが宙を舞い、落ちた。ウィッグが無くなり、下にあった本来の腰まである栗色の髪がサラリと揺れ、重力に従って落ちる。希の方を見ると本来の金髪が現れていた。


「あーっ!あの時のーっ!」


私達の姿を見た向日は、始めて会った時のことを思い出したのかそう叫んだ。


「煩いな・・・」


呆れて呟いた言葉に向日はムッと膨れたが、そんなことはどうでもいいと言わんばかりにバァッと立ち上がった。


「おいっ!?どーいーことなんだよっ?!」


「あの時は私達・・・associatoアッソチャートが依頼内容を聴きに来た日だよ。貴方達に会った時のままだと依頼に支障が出ると思ったのでな、変装していたんだ」


そう言いながら落ちたウィッグをまた、つけ直す私達。その姿をドアの向こうから見られていたことにも気付かずに。
























今日は何だか授業を受ける気にならなくてサボるため、校舎内を歩き回っていた。


「ふふっ!皆にサボった理由を呼び出されてたぁーって言っちゃおうっ!」


美姫あったま良いっ!こーんなこと考え付くなんてやっぱり、美姫って天才なんじゃないのぉー?
誰にも見られていないことを良いことに素でいる。ふふっと不適な笑みが漏れる。


「・・・何処でサボろうかなぁ?」


うーんと考えるとすぐ、頭に浮かんできたのは屋上だった。だから、屋上に行くことに決めた。
この事が、これからの運命を左右することを誰も知らない。
ルンルン気分で屋上に向う階段を登っていく。屋上のドアの前に来た、ちょうどその時、屋上から微かに話し声が聞こえてきた。


「・・・もぉ〜誰か居るの〜っ!最悪ぅ〜っ!場所変えなきゃならないじゃぁんっ!」


プンプンと怒りを露にしていたら景吾の声が微かに、聴こえた気がした。

きゃーっ、景吾居るのぉーっ!と思い、屋上のドアを開けようとした刹那、永藤 徠歌の声が聴こえてくる。


「気にしないで続けて?私達は私達だけの話があるから」


なっ、何よっ!?徠歌っ!あいつ、また、景吾と一緒に居るのっ!
そう思いながらも、徠歌達の様子が気になった私はドアを静かに少しだけ開いた。開けて出来た隙間から外の様子を伺う。すると景吾と徠歌の他にも徠歌側にいったテニス部レギャラーと茜、そして、この前わたし達に知らせに来た女が居た。
徠歌はニコッと笑って知らせに来た女と一緒にその場を離れようとしていた。刹那、強い風が屋上に吹く。私の目の前には目を疑う光景が広がっている。その光景とはその風によって、徠歌と女が被っていたであろうウィッグが宙を舞い、落ちた。ウィッグが無くなり、下にあった本来の栗色の髪が露になった。腰まである綺麗な髪に見たことあると思えば、あの時、景吾と一緒に居た女だった。

えっ?!・・・う、うそ・・っ。

目の前で起きてることに目を疑う。信じられない、と素で思った。頭の中がごちゃごちゃしている。それなのに、何故か隣に立っていた女の方に目がいってた。すると、目に映ったのは胸くらいある金髪の女だった。

こいつも・・あの時見た気がする。こいつと徠歌は仲間・・?どーなってるのよっ?!

理解出来ない状況でイライラする。混乱してきた・・・。


「あーっ!あの時のーっ!」


そんな中、岳人の叫び声が耳に入ってきた。正直、煩いと思える程の大きさだ。


「煩いな・・」


私が思っていたことと同じことを呆れ顔した徠歌が呟いた。

・・・・気にくわないっ!何であんな奴と一緒のこと思うのよっ?!

そんな自分にまた、イライラが募る。そして、狂う。


「おいっ!?どーいーことなんだよっ?!」


「あの時は私達・・・associatoアッソチャートが依頼内容を聴きに来た日だよ。貴方達に会った時のままだと依頼に支障が出ると思ったのでな、変装していたんだ」


岳人の問いにそう答える徠歌の言葉に反応する。

アッソ、チャート・・?依頼・・?変装・・?何・・?それ・・?

理解出来ない単語に頭が混乱する。だけど、何が起きてるのか理解するために深呼吸をして、冷静さを取り戻す。

アッソチャートは何かの名前だねっ!そのアッソチャートに誰かが依頼して徠歌と女が来た。そして、私の邪魔をしている。・・・・そーなると・・依頼内容は茜を守ること。仲間を増やしてることから馬鹿達に真実を教えること。そーはさせないんだからぁっ!徠歌・・・否、アッソチャートっ!

ふふっと笑い、もうここに居ても意味が無いことを話していることが聴こえないことから理解した私はその場を後にした。

ここに東條 美姫が居たことを徠歌達は今はまだ、知るよしも無かった。

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