朝食を食べ終え、準備を終えて近くにあるテニスコートへと向かった。

「・・・なぁ、徠歌。ラケットとかあんのかよ?」

テニスコートへと向かう途中、准羅がそんなことを聴いて来た。

「あー、昨日。部活が休みだって聴いた希がテニス、明日しよっ!って言い出してな。それで帰りにラケットとボールを買ったんだ。・・・でも、2本しか買って無いから交代でやることになるがな。」

「希が折角の休みを潰したってわけか・・・」

意味有り気に希を軽く睨む准羅にははっと軽く笑った。

「なによーっ!良いじゃん!やりたいんだもん!」

「まっ、1度やってみたかったんだよなー。テニス。」

「ほら、ついたぞ。」

そんな話をしていると目的地についた。パコーンとテニスコートからボールを打つ音が聴こえてくる。

「誰か使っているみたいですね。」

「みたいだな。どうする?」

「テニスしたーいっ!したいしたいしたい――・・・」

そうだだこねる希を呆れながら見ていた。

「だだこねてんじゃねーよ!ガキじゃあるめーし。」

希を見下ろしながら呆れる准羅は私達をどうすると言いたげに見渡した。

「はぁ・・・。仕方ありませんね。1度行ってみて空いているコートがあれば使わせて貰いましよう?行ってみませんと空いているのかとか分かりませんしね。」

「そうだな。行くか・・・希。」

「うんっ!」

瑞希と私がそう言うと希の顔がぱぁーっと明るくなった。

「早く早く行こうよ!」

私の腕をグイグイ引っ張って階段を登っていく。准羅と瑞希は私達の様子を見て、呆れながらもついて来ていた。頂上につくとそこには3人の男子と1人の女子が居た。

「あれ?あれって・・・」

その4人を見て希は立ち止った。私もその人達を直視していた。

「・・・徠歌・・・だよな?」

「あ、跡部 景吾?!」

最初は景吾だということに気付かなかった私達に気が付いて景吾は近寄って来た。

「徠歌ちゃん?・・・徠歌ちゃーん?!」

私の大きな声に気が付いたジローが走って抱き付いて来た。その様子を不思議そうに見る忍足と苦笑いの軌翠さんが近付いて来る。

「永藤 徠歌ちゃんだよねー?」

ジローは抱き付きながら私を見上げてそう訪ねて来た。景吾と軌翠さんは私達の変装する前を知っている。依頼が入ってから学校では本当の姿を見られてしまっていた為、変装していた。だが、今は変装していない。本当の私達だ。・・・ジローは私達の変装前を見たことが無いはずだ。何故分かった?私だと。

「良く分かったな。永藤 徠歌が私だと。」

「そんな匂いがしたからーっ!」

ニコニコと笑いギュッと抱き付くジロー。

嗚呼、ただの勘か。だが、この勘が真実に導いたんだな。

そんなことを思っていると驚いた顔をした忍足の顔が目に入った。まぁ、当り前か。

「おい。何しに来たんだ?あーん。」

いつまでも抱き付いているジローを剥がしながら景吾は聴いて来た。ジローはそんな景吾にぎゃーぎゃー文句を言っている。

「テニスしに来たんだよーっ!」

その声に逸早く反応した希に景吾は眉を潜めた。

「お前・・・出来るのか?」

「お前じゃなーい!希っていうかわいー名前があるんだからねーっ!」

景吾の言葉にビシッと指を立て指摘した。それを聴いた景吾は呆れ顔をしている。

「・・・希は始めてするからな。まぁ、教えれば出来るはずだ。」

「徠歌は出来んだな?」

「あぁ。」

ほうと感心する景吾から後ろに居る准羅達の方に視線を向けた。

「どうする?」

「希はやる気満々ですが?それとも、バレたことをですか?」

そう尋ねると瑞希は意味有り気に呟いた。

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