ごみばこ/Holiday | ナノ
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★愛してるよ、サウンドウェーブ(実写)

あなたは春風をまとったメルセデスベンツで、うわーって脅かす時のゴーストみたいなドアを開けて、私を新しい車の匂いがする中へ入れてくれる。
いつも綺麗な20万ドル、あなたと私だけの空間は無菌で、じぶんも綺麗な存在だと勘違いしてしまうんだ。
だけど私はたくさんの菌を、いい菌も悪い菌も持ち歩くこの星でしか生活出来ないすごくめんどくさい有機生命体だから、あなたが好きになってくれるなんて期待していなかった。
まさか、あなたが愛してくれる、なんて。
七十億の中の一匹、と名前を呼ばれると、じぶんがその名前に生まれてきたことが嬉しくなる。
今日も愛してもらいたくて、滅菌して、あなたに入る。キスなんておこがましいけど、ハンドルを握ったらスピードの目盛りがふっっ、と小さく一瞬震えたから、期待してしまう。楽しそうに人を殺すね。だけどあなたの締めつける、生きた細胞の詰まったコードが大好きだから、楽しそうに人を殺すことを怖いと思っても、口に出せない。
あなたが怖いんじゃなくて、そのコードで殺されるというのは一度しか経験出来ないし、それを味わったら死体を見られてしまうという、どちらかというとそんな怖さ。
出来るだけ一緒にいたいのです。
キスをくれるサウンドウェーブの肩にとまったレーザービークの、よだれのディーゼルの匂いがする。
そんな近くにいられる。
幸せだよ、サウンドウェーブ。
キスを嫌だと絶対にいわないあなたに、私はどんどんわがままになってしまいそうで。

サウンドウェーブ、わたしを殺すのは、あなたがしてね。

2014.11.08
路線がいつもとちがうne