THE LAST BALLAD | ナノ

#149 君なくて、離れる縁

 リヴァイとピークが見たエレンが姿を変えた「始祖の巨人」の全貌を確かめるべく、図に現すアルミン。リヴァイはこれまで図に書いて部下に説明する機会もあったが、残念だが彼は学に対して元々の地頭はいいのだが、絵心だけは、無いようだ。
 しかし、今の彼は肝心のペンを握る指もまともに動かせない状況である
 アルミンは言葉に言われただけでも的確に構図を組み立て見事に今のエレンの状態、形態を形にして見せた。

「要はバカでかい骨の塊が動いている……。虫みてぇにな。気持ち悪ぃ」
「普通に考えるなら頭部のうなじに本体はいるけど……」
「だが、戦鎚と同じ手がある限り絶対じゃねぇ、ジークのクソ野郎も、ウミも、中にいるんだろう」
「つまり……エレンがどこにいるかわからない」
「どこにいるかわからなくてもまとめて吹き飛ばすことはできる。かつてあなたがレベリオ軍港を跡形もなく破壊したように。あなたの持つ「超大型巨人」なら」
「確かに……それが一番有効なやり方だ。でも、それはエレンとの対話を尽くしてから……それでも他に……エレンを止める術が無い時の……最終手段だ」
「最終手段があるに越したことはないが……。エレンはジークを介して「始祖の巨人」を支配してんだろ? 先にジークを殺しちまえば「地鳴らし」は止まるんじゃないのか?」
「確かに……そうかもしれません」
「確証は無いがハンジはそう予想した」
「それもジークの居場所がわからないんじゃ……」
「探すしかねぇだろ、あの骨の中から獣のクソ野郎を……」
「でも、どうして「地鳴らし」を起こす為にエレンはウミを食べたんですか? ジオラルド家って、いったい何が……」

 ウミはアリシアの策略、そして、自分の与えられた命の刻限を、この島の防衛の為に。
 揺るぎない決意を胸にパラディ島も、店も、大事な店も、家族も捨てて、そして単身マーレに行ってしまった。彼女はアリシアの謀略に嵌められたまま、誰にも信じてもらえないまま姿を消してしまった。

 そして自分がマーレでどんな立場の人間か、その立場を噛み締めた彼女により、すっかり彼女は遠い人になってしまった。
 自分の押し隠した気持ちを皆に明かすことなく、エレンに食われてしまった。
 だが、皆レベリオで見た通りなら、ウミはかつて始祖ユミル・フリッツがなったとされる「原始の巨人」の力を持っていた。
 優しかった彼女がまさか巨人化能力者だったこと、そして、見た事も無い恐ろしい姿になり果て、レベリオの街を荒らし続けた彼女は、パラディ島で生まれ育った人間ではないと。
 黙り込む皆にピークがマーレでウミはどんな人間として過ごしていたのかを説明した。

「ジオラルド家は……、マーレでは有名な巨人科学の第一人者だった。そして過去の大戦で自由をもたらした英雄の一族、その初代ジオラルド家は始祖ユミル・フリッツをこの世に再来の為に、いろんな方法で試していた。いわば、彼女はジオラルド家による、始祖ユミル・フリッツの魂を持つ人間をこの世に蘇らせるために造られた存在……「あいつは、ウミ・アッカーマンは、俺の妻だ」

 凛とした声が響いた。ピークの声を遮ったのは紛れもないリヴァイだった。

「巨人でもジオラルド家でもない、あいつは、何一つ変わらない、ただひとつ、世界にただ一人の俺の女だ。俺の家族で、あの子は、助けを今も、求めている。それだけだ。何も変わっちゃいねぇ、」
「リヴァイ兵長、」
「あいつを、もう一度連れ戻す。エレンの腹の中はさぞや辛いだろう……俺をあいつは知んだと勘違いしてそして消えたのなら、もう一度だ」

 ハンジというかけがえのない相棒を失い、残された幹部は自分だけとなった。共に壁外を駆け抜けた仲間達は皆楽園へ旅立ち、そして、当時新兵だったメンバーを残し自分だけとなり、自分の事をもう「リヴァイ」と呼んでくれる者達は居なくなった、残されたのは、たった一人、あの少女だけ。ウミだけ、彼女は今も未知の先で囚われて、自分を待っている事だろう。
 何としても、自分は果たさねばならない、揺るがぬ近いがある限り、この心が折れる事はあってはならない。
 自分一人が戦っているわけではない、皆が見ている。仲間達が捧げた心臓の答えを、無意味な物であってはならないと。自分はその顛末を見届けなければならないのだ。
 託されてきた命を背負い、その果てに辿り着く未来を。

「ジークは、
 俺が、
 仕留める。

 ウミを、
 俺の家族を、
 もう一度取り戻す。

 力を……貸してくれ」
「リヴァイ兵長……」
「頼む……」

 これまで皆を先導して戦いへ、最前線へと駆けていた男が今の満身創痍の状態では自分ではマトモに立てない状態でも戦地へ赴く彼が初めて皆へ、はじめて、本心を口にし、そう告げたのだ。どうか、頼むと。
 これまで幾度も自分達の窮地を救い、導いてくれた。脅威的なアッカーマンの本能で力を貸してくれた男と、エルヴィンとの誓いを果たすために。
 家族を、この手に取り戻す為に死の淵から立ち上がった男の言葉に誰もが耳を傾け、真摯に受け止めた。

「兵長……。もちろんです。ウミ、そうだ、あいつが今更何だろうと関係ない、エレンの思いに賛同して、だけどあいつもきっとこんなこと望んでなんかいない、エレンを止めるためだ。兵長と一緒に、あいつも俺達を守り、ここまで導いてくれた。トロスト区奪還作戦で助けてくれたのはウミだ。ウミが居るから今がある。そして、兵長はかつて俺達が人と戦う時に、覚悟を決めろと、戦う意味を、現実を、教えてくれました。そして、この飛行艇を飛ばすために仲間を大勢殺しました。あれを……無意味な殺戮にするわけにはいきません。すべては「地鳴らし」を止めるため。俺は何だってやります」
「……ジャン、」

 リヴァイの考えに反発したこともあったジャンだが、今は中央憲兵達との熾烈な対人戦を潜り抜け辿り着いた今の場所、あの戦いを経て誰よりも冷静に周囲を見渡せる逸材となったジャンがリヴァイの申し出を受け入れる。

「俺は――。サムエルとダズを撃ち殺して、知ってる顔をめちゃくちゃに斬り刻んだ。裏切り者って言われながら世界を救うためだって言い聞かせて。なぁ……ライナー、お前も……ベルトルト……もアニも……辛かったよな」
「コニー。もう贖うこともできない罪だ。残りの人類を救ったって一生自分を許すことはないだろう。だから……だから、まぁ……せめて。残りの人類を救おうぜ」

 コニーは自分が先ほどのイェーガー派との争いでこの手でかつての同期を撃ち殺した自らの罪を告白し、そして、かつて自分達を戦わねばならなかった戦士であるから、戦士と兵士の狭間に置かれ苦しみ泣いていたベルトルトの苦悩や、アニの涙、そしてそのきっかけとなり今も苦しむライナーへ今なら、自分達と敵対せねばならなかった、マルコを殺さねばならなかった苦悩を持つマーレからやって来た三人の気持ちが痛いくらいに分かる。
 涙を浮かべるコニーを励ますよう肩にポンと手を置き、コニーも自分の肩にそっと置かれたライナーの大きな手を握り返した。

「……そうだな、ライナー。贖うことが出来なくても。とにかく……やるしかねぇよな……」
「そうだ、俺達は同じだ……ライナー。お前を責める資格なんて無かったんだ俺は……。人を救うため人殺しになった」
「あぁ……、レベリオ襲撃の夜に……。エレンに同じことを言われた。俺は、エレンの考えてることが少しわかる気がする……。エレンは俺達に止めてほしいんじゃないのか?」
「どういうこと?」
「イヤ……そう思うってだけなんだが」
「ずっと……疑問に思ってた……エレンはすべての巨人とエルディア人に影響を与えることができる。なのに、僕らは変わりなく巨人の力を使えるままだ」
「……エレンは意図的に我々を放任してるってこと?」
「そう、自由にやらせてる。まるで……僕達がどうするのかを試すみたいに」
「どうして……?「地鳴らし」を止められるかもしれないのに?」
「あいつだって辛いはずなんだ。人類虐殺なんてとても耐えられることじゃない。俺だったらもう始祖の力を誰かに任せてしまいたい、それができなければ終わりにしてほしい……誰かに……」

 とライナーが返したその瞬間。

「え……?」

 サシャ、そしてハンジの死に失意に暮れていた心許せる者達たちとの別れに、ミカサのその美しい無垢な顔には失意が浮かんでいたが、突然の出来事に普段感情をあまり表に出さない少女から驚く言葉が溢れた。
 ついさっきまで飛行艇の冷たい座席に腰かけながら今後の話をしていた筈なのに。
 いつの間にか、無機物が並んだ空を飛ぶ不安定な振動が消え、今は光あふれる夜でもない昼でもない異質な空間が広がって居たのだ。

 ライナーたちはまるでユミル・フリッツの魂を分けた民族であるが故、同じ道に導かれるように「座標」の力を持つエレンにより、ユミルの民である自分達は再びエレンの候えが脳内に響いたあの景色が導くままに、強制的に未知なる道の先に連れて来られていたのだった。

「何だ……聞いてやがったのか?」
「エレン!! 聞いてくれ!! もう十分だ!! きっと……!! これから何百年先誰もパラディ島に手を出せない!! それほどの恐怖と破壊の限りが尽くされた!! 今なら不可侵条約を結んで終わりにできる!! これ以上誰も殺さなくていい!! 島は、もう大丈夫だ!! 僕達が悪かった!!! エレンをここまで追い込んだのは僕らだ……!!!」

 アルミンがこの広い空間のどこかにいるエレンへ届くようにと大声で呼びかけ、皆も次々にエレンへ思いを伝えて行く。

「エレン!! 後は俺達で何とかするから!! もう……俺達の為に虐殺なんてやらなくていい!!」
「あぁ……そうだ!! エレン!! サシャのことでお前を憎んだけど……本当はお前だって悲しかったんだよな!? なのに……ちっとも、お前の立場になろうともしなかった!!」
「……エレン……私は……あなたの罪を一緒に背負いたい、あなたと同じ罪が……私達にもある。だから、もう……私達を遠ざけないで……だから……お願い……帰ってきて……」

 ミカサが、祈る様に震える声で懇願するようにあの日の面影のままのエレンの思い出を重ねて必死に呼びかけた。どうか、お願いだから帰ってきてくれと、願うように。
 しかし、その声がエレンに果たして届くのだろうか、それは分からない。
 新兵として。これまで同期で共に駆けて来た104期生の生き残りのかけがえのない仲間たち、今ならエレンが自分の肉体を捨て、こうしてまでも自分達や島を守るそのために。この島に向けられている憎悪全てを敵だと断ち切るのだと決めて。
 この大地に「地鳴らし」を起そうとしているに違いなかった。
 必死にエレンに呼びかける同期であり仲間達の姿にリヴァイも、エレンへ呼び掛ける。リヴァイをかつて審議所で巨人になれる人間として周囲から疑惑の目を向けられ、命を消されようとしたエレンを守るためにパフォーマンスで思いきり蹴っ飛ばした事を思い出すように。

「だとよ。エレン……。俺の妻を横取りしてさぞや満足だろうが……。今ならまだ、ケツに蹴り入れるだけで勘弁してやる……。オイ……。何とか言ったらどうなんだ?」

 リヴァイも、エレンに捕食されたウミを取り戻そうとエレンへ呼びかける。すると、「地鳴らし」を起こしたエレンが思い思いのままに支配するこの世界で、再び彼の声が広い空間で再び自分達の脳内を駆け巡ったのだった。

 ――「地鳴らしは止まらない。
 パラディ島の未来を運に任せて放棄することもない。
 オレは、進み続ける。ウミに報いるためにも、オレはこのまま止まらずに島以外の全ての命を踏み鳴らして」
「……な!?」
「オイ、」

 そう告げたそのエレンの声に誰もが凍り付く中、リヴァイが指し示した方向、全ての光が注がれて集約しまるで一本の巨大な木のように作り上げたその場所で、エレンが姿を現したのだ。

「エレン!!!」

 紛れも無い、自分が今誰よりも会いたい。
 彼の事を今も想い続けて。どんなに突き放されてもただひたむきに信じていたミカサが悲痛な声で叫んで見えたそのエレンの幼いころの面影を追いかけるが、その姿は再会した時のあの不衛生で野暮ったいまるで別人と化したエレンではない、懐かしい、あの日の少年の姿をしているエレンの姿に。

「エレン!!」
「なぜダメなんだエレン!? 俺らが信用できねぇってのか!?」
「どうして僕らが巨人の力を使えるままにしたんだ!? ここならいくらでも話せるだろ!? 話してくれよ、僕らはずっと一緒だ!! もうこれ以上遠くへ行かないでよ!! エレン!?」

 走り出すミカサに続いて追いかける104期生達。しかし、エレンのその表情は見えない、うつろな表情で、エレンは自分達へ呼びかけ続ける。

――「オレは自由を手に入れるため
 世界から自由を奪う。
 だが、お前らからは何も奪わない。
 お前達は自由だ。
 お前らが世界の自由を守るのも自由、オレが進み続けるのも自由。
 互いに曲げられぬ信念がある限りオレ達は衝突する。
 オレ達がやることはただ一つ、

 戦え」

 ミカサ、ジャン、アルミン、コニーの4人は必死に光の木の下に立つエレンに向かって呼びかけ、必死に走り寄るが、どれだけ息を切らし彼を呼び続けてもその光が降り注ぐその場所にいつまでも辿り着かない。それどころか、待っていたのはエレンを追いかけて駆け出した自分達を待っていたピークとライナーと走れないので道に座り込んだままさらさらした砂のような大地の上で動かないリヴァイだった。

 自分達はただ同じ場所を走っていただけという事なのか?
 立ち尽くすその光の木の下に立っていたのはエレンと、そして、もう一人。
 そこに居たのは、紛れもなくウミの姿だった。

「そんな……じゃあ、何で……僕らをここに呼んだんだよ!?」
 ――「話し合いは必要無いと。話すため。オレを止めたいのなら、オレの息の根を止めてみろ。お前らは自由だ」と返す。

 座り込んだまま動かないリヴァイ。その視線の先に、ウミが、自分を見つめている。追いかけようにも立ち尽くすミカサ達の表情を見れば無駄なことだと、もう届かない事だと分っている。

「オイ……ウミ……、ほんの少し、俺の寝ている間に、随分変わっちまったみてぇでびっくりするじゃねぇか。てめぇ、何勝手に得体の知れねぇ化け物になってんだよ……もう、何処にも行かねぇとそう言った筈だが、あの日の誓いは嘘か。」
 ――「……島の人達を、家族を守るの。もう誰にも邪魔はさせない……あの人がいない世界にもう未練はいらない、残された子供たちを守るのよ。誰も傷つけさせない」

 ゆらりと立ち上がるリヴァイを誰もが無茶だと止めようとするがリヴァイの歩みを、ウミを誰よりも心から求めている男の背中を誰も止めることが出来ない、リヴァイは無駄だと知りながら、よろよろとふらついた足取りで近いようで遠い存在となってしまったウミへ手を伸ばした。
 しかし、手の届く距離にいるのに、彼女に触れられない。
 推さないエレンの隣で立ち尽くすウミはまるで感情を無くした人形の様に冷たい、触れ合って感じた彼女の温もりも感じられない。

「お前は子供を置いて、消えるような人間じゃねぇ筈だ……。ウミ。早く、帰って来い、……みんなが待ってる、子供には父親が必要だ、俺にも、お前にも。親がいたように。だから俺達は出会った、そうだろう。一緒に家に帰るぞもう、お前を悲しませたりはしない、俺は、もう兵団を辞める、だからこれからは何処か静かな場所で家を建てて作物を育てて、家族で暮らそう。この身体になってから自分がどれだけ無茶していたか、気付かされるなんて。今更だとお前は言うかもしれねぇが、」

 ただ、お互いがお互いの為に、それだけだった。
 その思いがすれ違い、行き違い、そして一枚のコインは裏と表のままだった。
 本当はお互いが一緒にただ居られればそれだけで幸せだったのに、いつの間にか時だけは流れて、お互い地下街で出会ったあの頃と気持ちは何ひとつ変わってやいないのに。

「ウミ……。何も要らねぇ。その姿のままでいいんだ。もうそのままのお前が、ただ笑ってくれればそれでよかったのに、俺は、お前をどうして、信じてやれなかったんだろうな。お前が笑って居られる未来を、島の未来を。守るための行動だったのに。未来の事ばかりで現在(いま)のお前の苦しみを、何もわかってやれなかった。もし、許されるなら、今度こそ、エルヴィンとの誓いを果たしてジークを殺して「地鳴らしを」止めたら、エレンの仲に取り込まれたお前を必ず見つけて、こんなわけわかんねぇ世界から連れ出してやる。子供達に残りの人生を捧げて生きて行くと誓う、だから、帰って来い、ウミ……」

 しかし、リヴァイがようやく届いたと思ったウミは、もう、彼女では無かった。
 次に見たウミの姿は揺らいでそして風が吹き抜けるように、サラサラと砂の城のように崩れ、次に姿を見せたのは、ウミの姿を奪いこの世界に肉体を用いて具現化した「始祖ユミル・フリッツ」だったのだ。

 始祖ユミル・フリッツに姿を変えたウミの面影は崩れ落ちリヴァイを彼女は突き放した。

――「島の子供達は私が守る。結局話し合いだけで何も出来なかったあなたに、もう、用は無い……「地鳴らし」は進む。あともう少し、それが終われば、もう島がこの先攻め滅ぼされる事も、傷つけられることも無い。あと少しなのに、邪魔をしないで。あともう少しなの――。」
「オイ、どういう意味だ」
「これ以上、話し合っても無駄だと言うことがわからないの? 私は、もうあなたの愛した女じゃない、ウミ・アッカーマンは死んだの。さぁ、あなたは島に戻りいつまでも末永く、どうか生きなさい、誰よりも幸せに、誰よりも……」
「俺の幸せは、お前の笑顔をいつまでも見つめながら、隣で歩む事だ。ウミ……お前の居ない人生に、今更戻れって言うのか……」
――「私を止めたいのなら。私を殺す以外に道は無い。ただ、その時は、覚悟しなさい。私は本気、」
「もう、戻る気はないのか?」
――「くどい、何度も言わせないで。次に会う時があなたと私達との最後の……私は必ず手に入れて見せる,あなたの戦わなくていい未来を、あの島に永遠の、幸せを」

 それが、ユミル・フリッツの姿になり替わったウミの願いだった。
 リヴァイが確かに触れたウミ。
 しかし、ウミはするりと、まるで最初から肉体が無かったかのように、リヴァイの腕をすり抜けるように、それは、エレンと同じ揺るぎない彼女の限りなく海よりも深く、底に沈めば沈むほどに美しい思いそのものだった。

 リヴァイの手が、重ならなかったその時、突然、ガタンとまた視界が激しく揺れ、不安定な体勢、揺れる機体、足元に次に見た時には自分達を取り巻いていた世界は、また元の無機物な飛空艇内に戻っていたのだった。

 ガクリと、いつもどんな時でも気丈に前を向いていたミカサがついに耐えきれずに膝をついた。

 誰もが、絶望に沈んだ。苦痛に顔を歪め、手ごたえの無い感覚は紛れも無くリアルだったのだと痛感した。

 直接対面する前に、エレンの精神世界で全ての交渉は決裂したのだ。
 崩れ落ち嘆くミカサを支えるアルミンだがミカサはぐっしょりと冷や汗をかき、全身を激しく震わせて苦し気にはらはらと涙を流している。最愛のエレンへ伸ばした手は振り払われるように拒まれたのだ。

「どうやら……俺の予想は当たったようだ」
「どうしても……ダメなのか……?」

 心のどこかでライナーはエレンと最後に手を握り交わしたあの日が最後だったのだと、エレンの覚悟が生半可なものでは無いと噛み締めていた。
 ジャンは悔し気に天を仰ぎこれまでつかめなかった者達のむなしさを噛み締めた大きな手で瞼を抑え、コニーも蒼白した表情でエレンの拒絶、交渉の決裂にショックを露わにしている。

「クソが……、交渉の望みは潰えたらしい……。どうする? アルミン団長」

 ウミに伸ばした手はもう届かない、完全に、いつも欲しいと思う時に彼女はまるですり抜けて行くのだ。
 言葉は平静でも、リヴァイの拳は震えが止まらない、こんなにも誰かを失いたくと思う程に失う喪失感も感じさせる余地もない速さで次々と犠牲になる仲間達を見つめて来たから、だが、ウミは。家族を失う苦しみは、もう二度と、味わいたくないいと願っていた。

 しかし、逃れられず、言いようのない喪失感と掴めなかった手は行き所を失ってしまっている。
 完全に万事休すだ。アルミンはミカサを支えながらリヴァイからの問いかけに何も、思いつく言葉が見つからなかった。
 それでもこの先に待つ「地鳴らし」の中心部を進むこれから対峙しなければならない存在との対峙は免れない、迫るエレン、しかし、自分達の呼びかけがもう届かない以上は交渉の道は閉ざされたのだ。絶望を引き連れ多くの嘆きを全て切り捨てエレンとウミはもう二度と自分達の届かない場所へ行ってしまったのだ。

 もう、二度と彼女は手の届かない暗く冷たい世界へ。その身さえも捧げて、
 リヴァイは言葉なく拳を握り締めようとしたが、相変わらず欠けた指が視界にちらついて、やるせなさに藻掻きそして噛み締めた。これまでに失い続け、そしてようやく手にした筈の愛は、もう二度と届かぬ場所へ、目の奥が燃えるように熱い、ただでさえ言葉が拙い自分はもう何も言葉が出てこない。何も考えられないのだ、思考が動かない、もう、何度もこの腕に話さないと引き寄せてきた小さな光を引き寄せることが出来ない。



「あれが……スラトア要塞……。本当に飛行船はあるのか?」

 エレンを止めるべく、飛空艇が目指すは「地鳴らし」の次の目標地点でもあるスラトア要塞。そのはるか上空より下の大地では、レベリオを完全に踏み抜かれ壊滅したマーレに残された唯一を目指し、高台にある基地を目指してひた走る列車の姿があった。
 その列車には多くの者達が乗り込んでおり、皆それぞれ腕に巻かれていた自分達の悲しみの象徴を引き剥がし、そして戦闘で操縦する運転士にライフルを突き付けたままの鋭い目つきで睨む足の不自由な男がいた。

「さぁな……あの岩山の上まで登らなきゃわからないが……本当に……飛行船を奪って逃げられると思ってるのか? お前らエルディア人が……」
「口の利き方に気を付けろよ。マーレ人。お前がまだ踏みつぶされていないのは誰のおかげだ? 飛行船がダメならお前の家族も「地鳴らし」で死ぬ。お前が裏切っても撃たれて死ぬ。家族全員で生き残る道はこれしか無い。望みが低かろうと関係ない、必ず生き残るぞ」

 慣れた手つきで銃を構えたまま汽車を操縦するマーレ人へ指図する帽子の男は、アニの父親でもあるレオンハートだった。
 そして、マーレで窮屈な生活を強いられ腕章で区切られ収容区で不自由な生活を送っている多くのエルディア人たちが乗り込み、迫る「地鳴らし」から逃げ続け飛行船のあるスラトア要塞へ向かっていたのだった。
 皆が同じようにエレンからの「座標」の力で道を通じて送り込まれた「地鳴らし」に急ぎ汽車を奪いここまで逃げて来たのだ。

 その列車には同じくパラディ島へ旅立ったライナーの母や、ガビやファルコの家族、それに娘のお陰で充実した医療を受ける事が出来たピークの父親の姿もあった。皆が家族の無事を信じ涙を流す中でここまでくれば自分達の身体に流れる血の証でもある椀相はいらないと投げ捨てる中でピークの父親は未だ娘が13年の限られた時間を犠牲に差し出した腕章を外すことが出来なかった。
 そして、アニへ約束を求めたように、レオンハートも生き残るために必死でマーレの兵士達と戦い銃を奪いこの列車を半ば占領したのだった。

 しかし、列車では更に逃げ切れない場所を探し求め空へ逃げるしか手段はないとその足を求めに向かっていたスラトア要塞の飛行船が一斉に飛び立って行ってしまったのだ!絶望に暮れるレベリオの住人達、ふと、汽車の向こうで立ち上る煙を黙視すると、目前に広がる地鳴らしがとうとう自分達に追いついたのだ!

 置いて行かれたと絶望するが、飛び立ったその飛行船は何と、こちらに向かって進軍を続ける何千万もの膨大な数の超大型巨人達へ向かって行くではないか。
 飛行船を全て飛ばしてしまい、上空からあの「地鳴らし」の群れを吹き飛ばすために。と、世界の全ての英知が結集した「連合艦隊」も滅ぼされ、本当に追い込まれた最終手段を繰り出すため上空を飛んでいく。

 ウォール・マリアの壁すべてを崩壊させて出現した幾千もの巨人達「地鳴らし」はマーレ以外の国にも迫っていた。それはオニャンコポンの故郷も、ヒィズル国にも、そして多くの世界で。
 迫りくる絶望、「地鳴らし」によって罪もない大量の人間が崖に追いやられ中にはまだ幼い生まれた赤子を抱える母の姿も。がけっぷちに追い込まれとうとう海に飛び込む者まで。誰もが苦痛にうめき声をあげ押し潰されてまさに平らにされていく地獄絵図が広がって居た。

「この子を、誰か!!」

 崖下へ今にも、堕ちて行きそうな母親が子供を思いきり誰でもいい、誰か守ってくれと、放り投げた。この子だけでも、未来を生き抜いて欲しいと、親のエゴでも、それでも生まれてきた命を自分よりも長生きしてほしいと願わない親はいない。

 自らは崖から飛び降り、海面へ叩きつけられた。さらにその上を逃げ惑う人々が次々降り注ぐ。
 まるで雨のように、崖の上、取り残された人間たちは受け取った未だ生後間もない赤子を次々と上に抱えて転がすように、しかし、そこにも多くの者達を踏みつぶし血だまりを作り「地鳴らし」が無情にも迫っていた。



 レベリオ区の人間たちがようやくスラトア要塞に到着するが、すべての飛行船が出撃しておりすでに一隻も基地には残されていなかった。
 スラトア要塞の管制塔からは最高司令官であるミュラー長官がこれまでゲーム感覚で巨人を利用して他の国を支配していた時の顔ではない険しい表情で呼びかけていた。

「飛行船部隊とこの要塞にいるすべての兵士に告ぐ。ここが……人類に残された最後の砦となる……諸君らの双肩にのしかかる重圧は計り知れない……だが……結果がどうであろうと決して……諸君らだけの責任ではない……この責任は我々すべての大人達にある。エルディア人の純粋な子供達へ、お前達は過去の行いによって虐げられるのが当たり前だと、そして、全ての憎しみは「悪魔の島」にあると、それを利用し、洗脳教育を植え付け、憎しみを育み続け。憎しみに救いがあると信じ……我々が至らぬ問題のすべてを「悪魔の島」へ吐き捨ててきた……。その結果……あの怪物が生まれ……我々が与え続けてきた憎悪を返しにきた……。もしも……再び……この目で未来を見ることが叶うなら二度と同じ過ちは犯さないと……私は誓う。再び……明日が来るのなら」

 管制塔から司令官でもあるミュラー長官の演説が響いた時、カリナは大粒の涙をこぼしながら自分がエルディア人だから捨てられた男のことを思い出していた。不安な気持ちのままライナーを産んだあの日からずっと……自分は男に捨てられた悲しみと怒りとこの身体に流れる血を恨み、そそして復讐の道具に、そして自分が「名誉マーレ人」になれば自分と腹の中に宿った小さなそのいのちを捨てた男のことを思い出しながら、もうじき迫る絶望に泣き崩れたのだった。

「カリナ!?」
「姉さん!?」
「うぅ……私は……あの子をずっと復讐の道具に……私を捨てたマーレ人の男に……まだ……ライナーに母親らしいことをなにひとつも……」

 と、泣き崩れる。
 これまで、憎悪に駆られ「あの島」を憎しみとして、捨てた男を恨み、ミュラー長官の演説により、自分はパラディ島に対して強い偏見を持ち、それを姪っ子であるガビにも植え付けていた。
 憎しみが憎しみを産んで、腹を痛めて産み落としたたった一人の息子が命をすり減らし心を病んで自ら自死を選ぶほど、心酔していたのに、彼が活躍してその名を馳せても、ちっとも自分は息子の事を顧みようとしなかった。それを後悔しても、もう遅い。公開だけを吐露するカリナを見て、アニの父親でもあるレオンハートも同じだと、同調するように膝をついた彼女に語り掛けた。
 自分もそうだ、血のつながりのないアニを拾い、戦士候補生として育て、いずれは彼女を戦士になる様に厳しく、幼いか弱い少女を鍛え抜いた。利用したようなものだ。アニが戦士になれば自分は名誉マーレ人とし収容区の中にいるのは変わらないが、何不自由なく生きていけると。
 ピークの父も、病気の自分が万全な医療を受けられるようにと、彼女は誰かの花嫁になる未来ではなく、戦士として、残り寿命を全て差し出した。

 そして誰もが、迫る絶望を目の当たりにし、そしてただ後悔したのだった。全ての憎悪の連鎖を自分達は断ち切る事もせずに、そしてすべての恨みはこの惨劇を呼び起こしてしまったのだった。

「皆も……どうか誓ってほしい。憎しみ合う時代との決別を。互いを思いやる世界の幕開けを……ここで……私達の怪物との別れを」

 と告げ、海がダメならば空からの攻撃を、一縷の望み全てを託した飛行船部隊の攻撃態勢が万全に整ったのを知らせる合図が響く。
 全て飛び立ちとうとう多くの「超大型巨人」を引き連れて迫った変わり果てたエレンの中心に到達する。
 飛行船から全ての祈りを込めた最後の攻撃が進撃を続ける最終形態となったエレンの頭上で炸裂しようとしたその時、エレンは何かを察知すると、突如として「進撃の巨人」の上空で爆発が起きたのだ。

 急ぎ攻撃を開始する中、高度が高いのか命中精度が落ち夥しい量の爆弾がエレン巨人や超大型巨人の頭上で降り注いだその時だった。
 先ほどの爆発で生まれた光から何かが形成されていくではないか……。
 そして、エレンと繋がった骨のような関節のような部分から形作られた光から出現したのは……「始祖」の力で取り込まれた「獣の巨人」だった。

 すべての思いを、未来のためにもこの「地鳴らし」を止めるべくこの攻撃に賭けていたと言うのに……無情にも絶望と共に石つぶてを握り締めた「獣の巨人」でもあるジーク・イェーガーが得意とするあの敵であれば恐怖する投石攻撃により何もかもが脆くも崩れ去り、バラバラに砕け散った飛行船たちは言葉なく墜落していくのだった。

「飛行船部隊……全滅しました……」

 これによりすべての飛行船部隊は壊滅し投石攻撃によりすべて地面へ落ちると、成す術も無く迫る「地鳴らし」を前に残されたミュラー長官はそっと、観念したようにもう打つ手なしと、ただ、何の罪もないというのに自分達が「悪魔の島」とすべての怨念を向けた事で報復を受け、そしてこれから自分達だけではない、生まれたばかりの赤ん坊や何も知らない子供達も踏みつぶされていくのだと、ただひたすらに、悔いるのだった。

「すまない……罪の無い子供達よ……」

 とつぶやく。スラトア要塞にもとうとう迫って来た「地鳴らし」を止める最終手段は潰え、この距離ではあの死の行進から逃げる術はない。誰もが自分の死を覚悟し、この世の終わりを目の当たりに祈りを捧げる事しか出来なかった。
 間近に迫る巨人の接近を見ていた子供たちは口々に得体の知れない巨人たちの接近にただ怖いと口にし、母親に縋り付いていたが母親は泣きながらただ謝罪の言葉を繰り返し子供達を抱き締める事しか出来なかった……。

 迫る「地鳴らし」を見つめながらアニの父であるレオンハートがカリナへ声をかけ、共にあの島へ送り込む際に別れを告げた子供たちの話をし、隣に並んだ。

「きっと……アニも……ライナーも。パラディ島で生きている、親より先に……死にはしないさ」
「えぇ……、きっと……生きてる。あの子があの島で平和に生きているなら、私より先に長生きしてくれるのなら、それだけでいい」

 とそっと微笑み返すのだった。
 目を閉じて、そっと、終わりの鐘の音が響く足音へ耳を傾けながらその瞬間を待つ中で母親に縋り付いていた子供たちは空を飛びこちらに向かってくる銀翼の光を、目にしたのだ。

「あれ……何だろう? 飛行艇……?」

 もう駄目だと誰もが死を覚悟したその時、そこに、アルミンたちが乗った飛行艇が姿を現したのだ。
 エンジン音を響かせながら槌音を立てて「地鳴らし」上空へ迫る銀翼の翼。その機内ではオニャンコポンが必死に空っぽに近い燃料タンクと「地鳴らし」まで目前となり、見比べながらも必死にその翼を飛ばそうと操縦桿を力いっぱい握り締めコントロールしていた。

「クソ……もうほとんどエンジンが動いてない!!」
「早く飛び降りるよ!!」
「オニャンコポン!! 早く来い!!」
「まだだ!! 俺が「始祖」の真上まで舵を取る!! 俺はその後不時着して見せる!! だから確実にお前たちは「始祖の巨人」の元へ降りろ!! 分かったな!?」
「オニャンコポン――……ッ!!!!」

 決死の覚悟を決め、一緒に下りる事を拒み、オニャンコポンは確実に皆を「地鳴らし」の中心部へ連れて行くと決意を決めたその時、突然、何の前触れも無く「地鳴らし」に接近した瞬間、リヴァイとミカサの全身をゾワッとした嫌な「何か」が肌を伝い、それを課瓶に二人は同時にそれを感じ取ったのだ。

「避けて!! オニャンコポン!!」
「はッ――!! 掴まれ!!!」

 アッカーマンが元々持っている危機察知能力が獣並みに優れている二人が即座に迫る危機を本能で感じ取り、オニャンコポンへ急いで飛空艇を旋回しろと指示を飛ばしたその瞬間、機体が大きく揺れ動き皆が吹っ飛ばされそうになりながらギリギリの所で獣の投石攻撃をかわした。
 旋回する飛行艇の中を踏ん張り機体に捕まりながらリヴァイはようやくお目当ての存在が自分がこの「地鳴らし」の超大型巨人の群れの中から目を皿のようにして探さなくても、向こうから姿を現したのだ。

「いやがるな、獣のクソ野郎が――!!」
「……探す手間が省けた!! 攻撃目標は!!「獣の巨人!!」これにすべての力を用いて撃滅!!「地鳴らし」を食い止める!!!」

 と、ハンジに託された自由の翼。アルミンが指示を出し、全ての根源であるエレンの能力で自ら姿を現した「獣の巨人」へすべての攻撃を定める。
 そして再び飛んできた投石攻撃を避けたオニャンコポンが精密なコントロールで「地鳴らし」のジークの元に向かって高度を維持する。

「今だ!! 飛べ!!」

 はるか上空で、立体機動装置だけを装備した状態でこんな高い場所から降下するなど初めての試みだ。しかし、その足がすくんでしまいそうな高さの上で怯えている場合ではない、今こそ、最後の戦いへ、天から地へ、

「エレン!!」

 エレンに向かって、それぞれの決意を胸に、真っ向から地を蹴り、飛行艇から飛び降りていく。
 たったひとり、立体機動装置の扱い方を知らないピークはここで巨人の力を使い「車力の巨人」となり戦闘に参加する事になる。先ほどこの飛行船に巻かれていた弾薬とスイッチを持ち一緒にダイブした。
 しかし、自分達が飛び降りてきたのを狙ったかのようなタイミングで再び、何度でも生成される石つぶてが容赦なく自分達を襲う。
 真下から上の目標に向かって飛んで来るのを避けるので精いっぱいだ。

「うわぁあああ!!」
「狙い撃ちだ!! このままじゃ蜂の巣にされちまう!!」
「クソッ!!」

 万事休すかと思ったその時、体制を変えて皆より先行して落下速度を増したライナーが親指の付け根を噛み「鎧の巨人」へ変身し、振りかぶって投石攻撃をした「獣の巨人」と真っ向から対峙すると、そのまま落下した勢いで「獣の巨人」の首を掴んでそのまま勢いで落下しエレンの身体から伸びる骨のような硬質化の硬い部分へ叩きつけたのだ!!

「獣の巨人」の投石攻撃が止んだ、今が好機だと立体機動装置のアンカーを放ち、滑り落ちるように着地するアルミン達、そして同じく落下しながら「車力の巨人」へ変身したピークも巨人化した口に爆薬を挟んで爪を使いながら骨伝いに着地する。
 それは今か今かと「地鳴らし」に踏み抜かれる最期を覚悟して絶望していた、マーレの住人たちの目にもはっきりと肉眼で見えた。

「「鎧の巨人」!?「車力の巨人」まで……!? あれは……立体機動装置」
「まさか!? パラディ島敵勢力が!? 「地鳴らし」を止めに!?」

 まさか、かつて一か月前自分達の島をこれまで巨人化能力を持つマーレの戦士を利用して攻め滅ぼそうとしたあの「悪魔の島」の住人たちが報復に来たと絶望に沈んだレベリオの地を血に染めた一族たちが今度は自分達の軍の保持するマーレの戦士隊の巨人達を率いて立体機動装置を使って自分達の窮地に現れたと言うのか。
 歓声が沸き上がる中、カリナは自分の息子が突如として上空から飛んできた飛行艇から助けに来たことに感激し涙を流したのだった……!!

「エレン……もう一度――嫌な質問をしてやるよ。「君のどこが自由なのか」って、そこから引きずり出した後……」

【World's End Curtain Call】Fin. 2021.12.9.

 ここまでお読み頂き本当に本当に、ありがとうございました。
最後の「天と地の戦い」の行方ですが12月25日開催予定のリヴァイ兵長ウェブオンリーでの先行公開を予定しております。このサイト名と名前で参加します。
 本当に最後の最後です。ここまでに渡り約三年続いたこの長い長い物語もいよいよ完結です。読んで頂いた方へどうか最後まで見届けて頂ければ幸いです。間に合うよう心を籠め、ギリギリまで頑張りますので、最後までお付き合いのほど、よろしくお願い致します。

2022.01.30加筆修正
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