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「18th.secret Dearest-ALBEL-」


名の知れぬ感情、失いたくないと立ちはだかる過去の恐怖を越えられずに居る。

「お嬢様…!!」
「っ、危ないっ…!」

響く踵の音。
瞬間、引き裂く様な声が弾け飛べばあの子供に向かって異常なスピードで馬車が突っ込んできたのだ、

まさか…馬は何かに怯える様な眼で暴れ出した、恐らく…違いねぇ。
肉食動物と同じ俺の存在を感じ命の危機だと暴れ出したのだ。

「お嬢様!」
「…助けなくちゃ…っ!!」

…宵の刻、不気味な夕闇が辺りを支配してゆく中、躍り出る様にウミがその子供を助けようと何の躊躇いもなく路上に飛び出したのだ!!

「っ…阿呆か…!」

あいつが子供を馬車から守る様に抱き抱えるのと俺が再び蝙蝠の姿から本体の忌まわしき吸血鬼の姿に戻るのはほぼ同時。

「お嬢様…ウミーッ!!」

ダンピールの声が弾け飛ぶ中、この距離、クソ虫でしかねぇ人間だったらまず助けられない、しかし呪われた俺なら阿呆な事だ…
地を蹴り人間の目では追えない早さで執事の男をすり抜け迷わず馬車とウミの間に飛び込み鉤爪の付いた重鎧の左腕で馬を思い切り押さえつけ馬車がウミを跳ね飛ばす前に停車させた。

周囲から悲鳴が消え、辺りに静寂が訪れる中で確かに感じた小さな息遣い。
ウミが複雑な思いを秘めた潤んだ目で、俺を見上げていた。

その瞳に映るのは、今は俺だけ…そう自惚れ。

無言でガキを抱いたウミひっくるめ抱き寄せた。
俺の肩にも満たねぇ小さな身体…白い首筋に映える青蒼とした動脈。

欲しい…離れれば離れるほど、彼女の血に欲情する俺。
掛け違う寂しさに狂い思い知らされるだけだ。

信じたくもねぇ阿呆な話だが
俺は…この温もりを確かに愛した記憶がある。

信じたくもねぇ、浮かれてやがる。あいつの血を飲み干せと囁くもう1人の俺が、





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