愛し方さえも分からずに | ナノ
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「16th.secret Dearest-ALBEL-」

「チッ……
来やしねぇ。」

あの月夜からついに2週間が過ぎたが一向に来やしないたった1人の小さい女を俺は待ちわびていた…
理解しちゃ居る、散乱した部屋に悪態付いてもどうにもならねぇ。

あの女の見せた泣き顔と笑顔が交互に浮かんではまた消えてゆく。
試しに魔力で彼女の夢に邪魔すればあいつは俺を見るなり嬉しそうに優しい眼差しでまるで、俺を全て包み癒してくれる様な…慈愛深い愛しい瞳が俺を見る。

胸を揺さぶられた…俺を呼ぶその声も優しいその手の温もりも。
あの日を境に失った、二度と手に入らないと閉ざした本当は心から欲しいと浅ましくも願ってしまう…手を伸ばせば、失った温もりが其処にある。

気付きながら、何故。
俺たちはすれ違ってしまったのかわからねぇ…、ウミ。
あぁ、俺が喉から欲した女はお前だけ。
お前がくれる優しさが心地よくて、何よりもその愛しさ求めていた。
今なら何度でも言える、
今でも叫び続ける…

お前に逢いたい…お前に今なら言えるだろう。
俺が吸血鬼と言う呪われた魔物じゃなけりゃあ容易く、この腕に抱きたかった。

しかし叶わねぇ、俺の阿呆さ、甘さが、果てにお前を…

俺たちの間にはいつも、ブッ壊し切れねぇ壁が立ちはだかって居やがる。

俺が憎むのは俺自身。
誰でもない、俺は俺を憎む。

俺達は何度引き裂かれりゃあ結ばれる。許される、
俺がお前を手放す以外にお前を幸せにする術なんぞ持ち合わせちゃいねぇのに。

「…逢いに行くわけじゃねぇ、」

見えないどす黒い闇が俺を蝕む、胸の内に何度も言い聞かせる理由なんぞ知りたくもねぇ。
近くのマントをひったくり刀を脇に差し宵の刻、静かに町へ向かった。





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