ポスト!



帰り道イエローの膝丈ワンピースを着てイエローのボレロを
羽織りイエローのハイヒールを履いたイエローモンスター
(イエモン)に遭遇
より正確に
言えばそのイエローはレモンイエローに近い
のでレモンイエローモンスター
(レモンイエモン)になる
(レモンイエモンはセブンイレブンのような語感でかわいい)
(新種のモンスター)
(ただ残念ながらレモンイエモンの髪は明るい栗色だった
のでマロンレモンイエモンになってしまう)
(マロンレモンイエモンではセブンイレブンみがなくなる)
(セブンイレブンが24時間営業になりかつての
由来を見失ってしまったのに近い)
(マロンレモンイエモン
はそれはそれで三段跳びのようである)
マロン×レモン×イエモン
「こんばんは、栗檸檬伊右衛門です。
この放送は箕面市からお送りしております。
まず最初のお便りをご紹介します。

〜暗転〜





あっ

ごめんごめん
電気つかへんねん
もう三年ぐらい
そこの窓から
星見てたら
たまに降ってくんねん
どっかその辺に落ちてんのちゃうかな
知らんけど
そこの窓のな
腐ってる木の雨戸の
錆びてる鉄の格子の
草ボーボーになってんねん
ボーボーの
お隣さんの
奥さんめっちゃブスやねん
残念ながらブスやねんなあ
どうしょうもない
の隣の
隣は
よう知らんわ
もう何年も見てへんし
隣の隣の隣の
電気つかへんからわからんねん
の隣


〜明転〜

サダハルは大きく欠伸をして伸び
生えてきたばかりの尻尾に異物感
慣れない水飲み皿から水分を補給
元右手であったところの右前足を
扱いあぐねているうちに目の前を
通過していった蠅取蜘蛛からもう
目が離せないまま渾身の三段跳び
の勢いを保って開けっ放しの窓の
普段そこにあるはずの網戸を通過
しまったと思う暇もなく肩甲骨が
急速に発達しその四肢を全て覆い
尽くすほどの大きさで空を駈ける
ひしょう
突風に顔面を殴られて
鼻唄も上手く唄えない
サダハルの尻尾だけが
左右に拍子を刻んでは
頬骨に張り付いた髭の
小刻みに震える先端は
枝毛




〜回想〜




生まれてくる前に出会っておけばよかった
レモンイエローのケーブルが
二つ折りにした首から伸びて
異なる次元に接続する
401号室のモンスター
夜毎卵を抱いていた
遠く滑走路から
無人の旅客機が離陸する

(3秒後に明転、そのまま、ずっと、)

やあ、とても
よい天気だね
名前をつけること、は
今でも続けているのかい
きみがつけた、
名前
例えば
あい、というのが
脳内物質によるものだとしたら、
機械にあいを教えることは不可能
なのに身体、
を持ち得ない定義にも
きみは名前をつけた
生きているかい
つくられたあいは
えいえんに可愛らしく笑う
ときみは言う、
それはきみにとっての
脳内物質
笑い
なのかどうか
またここへ教えに来てほしい

今も、そこで、
あぁ、
そっちはどうだい、





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